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沖縄野球はプロをも席巻するのか?
東浜巨と川満寛弥に期待する理由。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byKyodo News

posted2012/12/21 10:30

沖縄野球はプロをも席巻するのか?東浜巨と川満寛弥に期待する理由。<Number Web> photograph by Kyodo News

ロッテに2位指名された喜びを表現する川満。その純朴な表現に、沖縄らしさが表れている!?

 沖縄出身者は、プロで活躍できないというジンクスがある。長きに渡って第一戦で活躍したということでいくと、投手では「巨人キラー」と呼ばれた元広島の安仁屋宗八、野手では元阪急の主砲、石嶺和彦ぐらいだ。

「プロ以前」までの段階では、身体能力に長けた沖縄出身者は、他の地域の選手よりも可能性を秘めているように思える。

 それなのに、なぜか――。

 よく言われるのは、沖縄人の性格である。いわく、「勝負の世界で生き抜くには、のんびりとしていて、性格が優しすぎる」と。

 沖縄の選手と話をしていると、十中八九、そうした「沖縄感」がにじみ出てくるものだ。

 今年のドラフト会議で千葉ロッテから2位指名を受けた九州共立大の大型左腕、川満寛弥もそうだった。川満は宮古島の宮古総合実業高校出身で、高校時代はまったく無名だった。大学で急成長を遂げた選手である。

あまりにも沖縄的な川満と、あまり沖縄的に感じられない東浜。

 沖縄的か、沖縄的でないかということで言えば、川満は、今まで見たどの選手よりも沖縄的だった。

 川満の取材で、九州共立大を訪れたときのことだ。玄関で出迎えてくれた瞬間から、すでに「沖縄感」が、にじみ出ているどころか、あふれ出ていた。

 まるで小学生を見ているかのような、照れくさそうな笑顔。取材が始まっても、声が小さく語尾は今にも消え入りそうだった。

 沖縄出身の選手を取材するとき、沖縄っぽさがあまり見えないと、それはそれでややさみしいのだが、どこでプレーしても大丈夫だろうとも思える。

 だが反対に、あまりにも沖縄っぽいと、ちょっと嬉しくなるのだが、大きなお世話だと思いつつ、少し心配になる。

 川満に「雰囲気がピッチャーっぽくないね」と投げかけると、こう返ってきた。

「沖縄の性格が、まだ完全に抜け切ってないと思うんですよね……」

 そういう意味で完全に「抜け切って」いるように映るのが、今ドラフトの目玉のうちのひとりで、ソフトバンクから1位指名を受けた亜細亜大の東浜巨だろう。

【次ページ】 沖縄の枠を越えた大物はプロでの活躍も間違いなし!?

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