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歴代2位のタイムで初V。
競泳界待望の新星は14歳。
~バタフライの逸材・細田梨乃~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/06/27 08:00

中学記録も14年ぶりに更新。優勝直後も号泣したが、表彰式では笑顔を見せた細田(中央)

中学記録も14年ぶりに更新。優勝直後も号泣したが、表彰式では笑顔を見せた細田(中央)

 ようやく出てきたか。いい意味で予想を裏切る活躍に、関係者からは笑みがこぼれた。6月4~6日、東京・辰巳で行なわれた競泳ジャパンオープンでのひとこまである。

 今シーズンは五輪中間年であり、世界選手権もない。だからこそ、日本競泳陣にとって、地力を上げることがテーマの1年である。とくに女子は、北京五輪後、長年リードしてきた選手たちが引退。昨年の世界選手権はメダルなしに終わるなど低迷しているだけに、新たな選手の台頭があるかが今大会の注目点だった。

「とうとう開花」した14歳が100mバタフライを制す。

 期待にこたえたのが、100mバタフライを制した中学3年、14歳の細田梨乃である。'08年のジュニア・オリンピックで50、100mを制するなど期待を集めていた選手だが、今大会は予選から好調。全体の2位で決勝に進むと、北京五輪日本代表の加藤ゆからを破り、初優勝を果たしたのだ。しかもタイムは日本歴代2位。6月4日に発表された今季世界ランクでは7位に入った。身長161cmながら、リーチは約170cmという長い手をいかした大きな泳ぎと後半の強さを特長として持つだけに、アテネ五輪で中西悠子が銅メダルを獲得した200mでも速くなる可能性を秘める。

 首脳陣の評価も高い。日本代表ヘッドコーチの平井伯昌氏が、「とうとう開花してきました」と評価すれば、日本代表監督の上野広治氏も、「ロンドン五輪へ向けて期待できる素材です」と絶賛する。

すでにオリンピック出場を現実的な目標としている細田。

 実は細田は、決勝のレース前、緊張から泣いてしまい、コーチの畑井宏道氏から、「オリンピックはもっとすごい緊張感で泳がないとならないんだぞ」と励まされたという。つまりは、すでにオリンピックを意識して取り組んでいるということだ。細田本人もレース後、「世界で戦える選手になります」と語ったが、高い目標を胸にしつつ取り組んでいることも、今後につながるはずだ。

 成長が見られたのは細田ばかりではない。200m背泳ぎでは、高校1年の神村万里恵が自己記録を大幅に更新し2分8秒52で2位となったほか、10代半ばで決勝に進む選手が数多く見られたのも、評価すべき点だ。

 これからの2年、台頭してきた彼女たちが順調に伸びていけるかどうか。それがロンドン五輪の成績をも左右する。

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