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シンクロ界の悪循環を、
新代表コーチは絶てるか。
~ロンドン五輪での雪辱に向けて~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2010/05/31 06:00

シンクロ界の悪循環を、新代表コーチは絶てるか。~ロンドン五輪での雪辱に向けて~<Number Web> photograph by KYODO

昨年の世界選手権で練習する日本チーム。史上初のメダルなしの雪辱はいつ果たせるか?

 5月6日、不在だったシンクロナイズドスイミング日本代表ヘッドコーチに、47歳とシンクロ界では若手で昨年までシニア代表の指導歴のなかった花牟礼雅美氏の就任が決まった。「若い指導者を育てたい」からだと日本水泳連盟幹部は言うが、一抹の不安を感じる。

 実はシンクロ界は、この数年、若い人材を代表ヘッドコーチに選んできた。2004年のアテネ五輪後、長年指導にあたり日本を強豪に育て上げた井村雅代氏が退任したこともあって、次代の指導者を見出そうという意図だった。

 だが試みは成功していない。若手が就任しては短期間で辞任、というドタバタが続いているのだ。

北京五輪で途切れた、全大会全種目連続メダル。

 '08年北京五輪開幕の約2カ月前、ヘッドコーチが「自信を失った」と辞任。急遽、強化部長など長いキャリアを誇る金子正子氏がデュエットを見ることになった。そのデュエットこそ銅メダルを獲得したが、他の若いコーチに任せたチームは5位。'84年の五輪種目採用後、続いていた全大会全種目メダルが途切れた。試合後、金子氏はチームを任せた理由を語った。

「若い人に経験を積ませたかったので」

 その後新たなヘッドコーチが就任したが、昨年の世界選手権で史上初のメダルなしに終わり辞任。その後別のヘッドコーチ就任もすぐに辞任。そして今回だ。

もはや猶予はない。実績のある指導者を選ぶべきでは?

 そもそも、日本代表は結果を求められる場である。ヘッドコーチの育成の場ではないはずだ。その誤りが近年の大会での結果にも表れているのではないか。

 気がつけばロンドン五輪まで2年である。まして北京五輪後に選手が入れ替わっており、停滞する余裕はないはずだ。なのに、時間を無駄にしている感は否めない。北京五輪では中国にヘッドコーチとして初のメダルをもたらし、現在は自身のクラブで指導にあたる井村氏も、5月初旬のジャパン・オープンで「このままではロンドン五輪にチームが出られない可能性もあります」と危機感を示している。猶予が許されない以上、やはり、実績のある人間をつけるべきではないか。

 ちなみにこの大会で、日本勢最上位は、チームは3位の井村シンクロクラブM、デュエット3位の乾友紀子・小林千紗組も井村シンクロクラブ所属である。

 選手のためにも、手腕のたしかな指導者は大切である。その人材はいる。

■関連コラム► 世界選手権で露見した、シンクロ日本の問題点。 (09/09/02)
► <シンクロ界の女王> 井村雅代の新たなる挑戦。 (08/01/31)

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