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今ドラフトは“右投右打”が大人気!!
統一球が変えつつある強打者の条件。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/11/14 10:30

今ドラフトは“右投右打”が大人気!!統一球が変えつつある強打者の条件。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

広島からドラフト1位指名を受け、仮契約を結んだ龍谷大平安高の高橋大樹。高校通算43本塁打の長打力を持ちながら、俊足も魅力の超高校級外野手だ。

飛びづらい統一球の導入で“右投左打の神話”が崩壊。

●セ・リーグ
'10年 863本
'11年 485本
'12年 454本
●パ・リーグ
'10年 742本
'11年 454本
'12年 427本

 '11年から本塁打数がどんどん減っていくさまが手に取るようにわかる。

 そして、本塁打数の多寡は、現在のところ、見事にチーム成績に反映されているようなのだ。統一球が導入された'11年以降のチーム成績と本塁打数を紹介する。

――'11年――
●セ・リーグ
1位 中日 82本
2位 ヤクルト 85本
3位 巨人 108本
4位 阪神 80本
5位 広島 52本
6位 横浜 78本
●パ・リーグ
1位 ソフトバンク 90本
2位 日本ハム 86本
3位 西武 103本
4位 オリックス 76本
5位 楽天 53本
6位 ロッテ 46本
――'12年――
●セ・リーグ
1位 巨人 94本
2位 中日 70本
3位 ヤクルト 90本
4位 広島 76本
5位 阪神 58本
6位 DeNA 66本
●パ・リーグ
1位 日本ハム 90本
2位 西武 78本
3位 ソフトバンク 70本
4位 楽天 52本
5位 ロッテ 64本
6位 オリックス 73本

 大まかに本塁打の多い球団がAクラス、少ない球団がBクラスという傾向になって表れている。そして今年は、本塁打を10本以上打っている選手がパ・リーグ10人、セ・リーグ17人いて、このうち右投左打はセの阿部慎之助(巨人)、ブラゼル(阪神)、筒香嘉智(DeNA)の3人しかいない。あとの21人は右投右打で、3人が左投左打である。こういう結果が出るとドラフトで右投左打は指名しづらい。

 毎年のように本塁打不足に悩まされている広島が1位で超高校級スラッガー、高橋大樹(外野手・龍谷大平安)を指名したのを筆頭に5位まで野手を指名し、その全員が右投右打だったことは象徴的である。同じようにDeNAも3人の野手を指名し、全員が右投右打だった。

【次ページ】 WBCのチーム編成でも右投左打の偏重は慎むべき。

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