ゴルフツアー選手権のメジャー初制覇で名誉挽回を！

　ただし、試合後の石川は、この58を冷静に振り返っていた。

「58を出した、という実感はありません。いうならば58が出た、でしょうか。これで自分が格段に上手くなったというものでもなく、実力がついたということでもないと思っています。たまたま全ての巡り合わせがスコアに結び付いていったと受け止めています。スコアと、自分の思うようなゴルフの内容、質や自分の中の満足度、納得度とは比例しないと思いますし、今日のプレーをもう一度しろ、といわれてもできないと思います。何か特別なことが起こった日でした。ただ、攻めのゴルフでは、こういうことも起こりうるんだとわかったことは、これからの自分にとって大きな励みになります」

　先週開催された「ダイヤモンドカップ」では32位と振るわなかった石川。5月2日の中日クラウンズで「58」を達成した次のトーナメントであるメジャー大会「日本プロゴルフ選手権」では80位で予選落ちまで喫している。「58」の偉大な数字を背負った以上、今週の日本ゴルフツアー選手権ではなにがなんでも頂点を取りにくるに違いない。

　いつ、どんな試合でも、最終日の石川は追撃してくる……。この数字で石川はトップグループを常に意識させる存在となったのだ。「58」の最大の意味は、そこにある。かつてのジャック・ニクラスや日本ツアーでの尾崎将司、ここ10年のタイガー・ウッズは、どんな位置にいても最終日のトップグループに脅威を与え続けてきた。石川は、その入口に一歩踏み込んだのではあるまいか。