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甲子園での経験を糧に
プロで大成する投手たち。
~再評価される大舞台での経験~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2012/08/19 08:00

甲子園での経験を糧にプロで大成する投手たち。~再評価される大舞台での経験~<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

田中将大(楽天)は駒大苫小牧の大黒柱として2005年夏に全国制覇、2006年夏に準優勝を果たす。

 スポーツ医学がまだ未発達だった'80年代、肩・肘の故障は投手生命を脅かす最大要因だった。そのため、連投を強いられる甲子園大会の優勝投手は大成できないと言われ、スカウトは目をつけた選手が予選で敗退することを願っていると、まことしやかに囁かれていた。

 しかし、スポーツ医学やトレーニング方法が大きく発達した現在、甲子園大会(夏の選手権)に対する考え方が幾分変わってきた。肩・肘の故障が絶対的脅威でなくなったことにより、甲子園での経験が見直されるようになったのだ。

 1試合平均3万4000人(昨年)の観客の前で投げることによってプレッシャーをいち早く経験でき、選手によってはその克服法を知ることもできる。何よりも甲子園大会の決勝戦を経験した投手が、その後プロ野球の世界で大成することが多くなった。

 過去10年間では、ダルビッシュ有(東北)、福井優也(済美)、田中将大(駒大苫小牧)、斎藤佑樹(早稲田実)、野村祐輔(広陵)が決勝戦まで勝ち残り、田中と斎藤は深紅の優勝旗を手にしている。

1試合22奪三振の“新ドクターK”、桐光学園・松井らに期待大。

 今大会の出場選手のうち、甲子園の経験を糧にして大きく成長し得る投手は誰なのか、展望してみたい。

 直球の速さで目を引くのは、伊藤侃嗣(常総学院)、黄本創星(木更津総合)、菅原秀(福井工大福井)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭)、柿澤貴裕(神村学園)、照屋光(浦添商)。変化球を交えたバランスのよさでは、22奪三振の新記録を樹立した松井裕樹(桐光学園2年)、濱田達郎(愛工大名電)、竹内諒(松阪)の名前が挙がる。

 このうち大阪桐蔭と木更津総合、浦添商と愛工大名電が初戦で、常総学院と桐光学園は2回戦で激突した。この直接対決により、自分の力を全国レベルで比較することが可能となる。昨年の例では、2回戦で投げ合った釜田佳直(金沢→楽天)と歳内宏明(聖光学院→阪神)が高校野球ファンの注目を集め、存在感を一気に増している。

 甲子園大会で大きくなった選手が、その後プロ野球の世界で活躍し、ゆくゆくはメジャーの舞台で大きく羽ばたく――。そういう将来のスター選手の“物語の序章”に立ち会えることこそが、すべての野球ファンにとって至上の喜びとなる。

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