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なでしこ、メダルへの舞台は整った!
“2位狙い”指令の是非を考える。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNoriko Hayakusa/JMPA

posted2012/08/01 12:00

なでしこ、メダルへの舞台は整った!“2位狙い”指令の是非を考える。<Number Web> photograph by Noriko Hayakusa/JMPA

第2戦の先発から7人の選手を入れ替えて臨んだ南アフリカ戦。岩渕真奈(16番)、高瀬愛実(15番)ら初先発を果たしたメンバーは、同時進行のスウェーデン戦の状況もにらみながら試合をコントロールするという難しいミッションを見事にこなした。

 ロンドン五輪グループリーグ第3節、カーディフの地で行われた南アフリカ戦の試合自体に、特別な意味も見るべきものもほとんどなかった。

 試合前のミーティングで、佐々木監督から「ドローを狙える展開であれば、そういうことでいい」と伝えられており、後半は「2位狙い」の指令が出ていたからだ。

 なでしこがF組を1位で通過すると、G組2位のチームと対戦することになる。G組2位には、アメリカあるいはフランスが濃厚だったが、いずれも五輪本大会直前の親善試合で手痛い敗戦を喫しているだけに、メダルマッチ前に対戦するのは避けたい気持ちは容易に理解できた。万が一、敗れることになってはすべてが水泡に帰すからだ。

 また、1位通過すると次の準々決勝はグラスゴーでの試合となるが、ロンドン経由で移動に8時間以上かかる予定だった。一方、2位ならカーディフに滞在したまま次戦を迎えることができる。決勝トーナメントからも中2日での試合が続き、消耗戦になってくるので、移動などによるコンディションへの影響をできるだけ少なくしたい。

 それゆえ、2位通過を目指したわけだが、チームも澤穂希など主力7人を入れ替え、岩渕真奈らサブメンバー中心に編成された。

サブメンバーの“ガス抜き”という効果。

 良い選択だったと思う。

 決勝トーナメントに向けて主力を休ませることが出来たし、サブメンバーは五輪という舞台でプレーすることができた。サブメンバーは展開によっては一度も出場できない、あるいは出場しても数分で終わることも多いが、全選手が五輪のピッチを経験することができたのだ。

 このことは、これから先、メダルを目指した戦いをしていく上で非常に重要な意味を持つ。メンタル面でも戦力面でも、サブメンバーの充実がなければ大きな世界大会は絶対に勝ち抜けない。しかし、試合に出られないことで不満そうな表情が出たり、心が折れそうになる選手もいる。そうした、プレーしたいという欲求を南アフリカ戦で発散させ、ガス抜きが出来たのだ。また、サブメンバーのコンディションと力量、周囲との連係などを見極めることが出来たという収穫も大きい。

 このように先を見据え計算した戦いができるようになったのは、2戦目でグループリーグ突破を決めたからだ。3戦目にグループリーグ突破がかかるような状態では、これほど戦略的にことは運べない。まずは目前の試合を勝つことに集中しなければならず、先のステージを計算することは、なかなかできない。

 2試合で決勝トーナメント進出を決めたことで、色々なことを計算できる「特権」を得たわけだが、この試合をして「なでしこらしくない」と見る向きもあるようだ。

【次ページ】 試合内容は忘れられても、メダルは永遠に語り継がれる。

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