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45歳まで投げるために。
渡米4年目、松坂の変身。 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2010/05/24 06:00

この日6回途中5安打5失点で降板した松坂。松井秀喜に対しては、3打席無安打に抑えた

この日6回途中5安打5失点で降板した松坂。松井秀喜に対しては、3打席無安打に抑えた

 勝っても、笑わなかった。メジャー4年目を迎えたレッドソックスの松坂大輔が、今季2試合目の先発で初勝利を挙げた。松井秀喜が新加入したエンゼルス相手に、初回に制球難で4点を許しながらも打線の援護で逆転し、白星を手に入れた。「先発なので、勝ちが付いたのは素直に喜びたいですね」。口ではそう言ったが、内容が伴わない目先の1勝だけで笑うわけにはいかなかった。

 '07年、レッドソックスが約100億円を投資して獲得した松坂も、昨季は股関節痛などの相次ぐ故障で、過去最低の4勝に終わった。そこで、オフ期間には徹底的な肉体改造に着手。同僚のペドロイア、エルスベリーらの紹介もあり、アリゾナ州内のトレーニング施設で初の海外自主トレを行なった。ただ、松坂はプロ入り直後のように、屈辱を晴らす「リベンジ」に固執していたわけではない。むしろ、中長期的な視点で自らの体や内面と向き合っていた。「今年だけのために練習しているわけではありません。長くやるための土台になればと思っています」

故障の続いた昨季がターニングポイント。

 今年9月13日で30歳。これまでは、地肩の強さやスタミナを活かした本格派として高いレベルの成績を残してきたが、力任せや小手先の修正だけで通用するほどメジャーの舞台は甘くない。松坂自身も、いつの日か根本的な転換期が必要なことは覚悟していた。2度の故障者リスト入りを経験した昨季は、まさに新生松坂へのターニングポイントだった。

 股関節や体幹を鍛え直し、左足を高く上げる下半身主導の投球フォームに改良したのも、その表れだった。飛び跳ねるような力感溢れるフィニッシュよりも、しなやかで流れるような動きをイメージした。その一環として、ヒジの使い方や肩甲骨を動かす意識を変えた。「軽く投げているように見えても、実際にはボールが走っているのが理想です」。150球を超える球数を要しても完投にこだわった西武時代と、考え方にも変化が見え始めた。「できるだけ少ない球数で長いイニングを投げたいです」

 将来的には、45歳まで現役を続けることが目標。だからといって、技巧派に変身するつもりもない。実際、1日の今季初登板では、最速95マイル(約153km)をマークした。完全復活した松坂が、心の底から笑える日も、そう遠くはない。

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