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NBAの“集客力”。
~超満員が続く背景とは?~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byGetty Images

posted2012/07/22 08:00

NBAの“集客力”。~超満員が続く背景とは?~<Number Web> photograph by Getty Images

イースタンカンファレンス決勝、セルティクス対ヒートの一戦。ヒートは、レブロン・ジェイムス(右)の爆発的な活躍でファイナルに進出。ケビン・デュラントを擁するサンダーを下し、6年ぶり2度目のNBA王者に輝いた。

 NBAの'11-'12年シーズンは、ヒートの優勝で幕を閉じた。開幕前に新労使協定が締結されず、ロックアウトで2カ月近く開幕が遅れ、レギュラーシーズンは82試合制から66試合制に短縮された。選手年俸を抑制して、チーム間の格差を小さくしたいオーナー側と選手会が対立。延々と続く交渉の末、何人かの選手が反トラスト法違反でオーナー側を訴える一幕もあった。

 こうなると、普通はファンの方も嫌気がさしてくるものだ。'95年の大リーグと同様、開幕にたどり着いても、なかなかファンが戻って来ない状況も考えられた。

 しかしNBAは、'95年の大リーグのようにはならなかった。クリスマス開幕が決定すると、観客は前のシーズンを上回る勢いで戻ってきた。今季のレギュラーシーズンで、座席の稼働率が100%以上だったチームは全30チーム中9チーム。'10-'11年の6チームより3チーム増えたのである。日本の会場と比較すると、NBAの会場はどこも、代々木第一体育館(収容人員約1万人)の、ほぼ2倍の規模を持っている。

MLBと比べ、リーグ全体として発展していく動きが顕著なNBA。

 1試合平均の最多動員は3年連続でブルズ。今季の平均は2万2161人で、昨季の2万1791人を超えた。最少動員のチームを見ても、今季はネッツの1万3961人で、昨季はペイサーズの1万3538人。今季の方が多い。チケットの価格を見ると、NBA全体の平均が48ドル48セント。1ドル80円で換算すると約3878円である。これは前年比で1.7%の上昇だった。つまり、ロックアウトがあった上に、チケットの価格は上がったにもかかわらず、観客は増えたのである。

 これは'95年の大リーグとは、まったく異なる展開だ。その背景として、魅力ある若手スターが続々誕生する層の厚さや、戦力均衡化への動き、などに注目せざるを得ない。昨年のオールスターで、新人ながらスラムダンクコンテストに優勝して飛躍的に注目度を高めたブレイク・グリフィン。ハーバード大学出身でニューヨークの救世主となったジェレミー・リン。こういったユニークな若手スターは、スポーツ界全体を見渡してもなかなかいない。

 また、弱小球団だったクリッパーズに昨年、NBAを代表する司令塔クリス・ポールがトレードで移籍、チームは躍進して観客も前年比で8.3%増えている。大リーグを見ると、大物選手はトレード拒否条項を持つ選手が多いせいか、弱小球団への移籍は非常に少ない。リーグ全体として発展していく動きが、NBAで、より活発なことは確かだろう。

【次ページ】 観客動員に不利な平日開催でも、すべての試合が満席に。

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