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為末大を手本に躍進した、
ハードラー・岸本鷹幸。
~メダル級好タイムの五輪代表~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byHiroyuki Nakamura

posted2012/07/01 08:00

為末大を手本に躍進した、ハードラー・岸本鷹幸。~メダル級好タイムの五輪代表~<Number Web> photograph by Hiroyuki Nakamura

日本選手権連覇を達成した岸本。五輪での同種目初の日本人ファイナリストの座を目指す。

 6月8日から10日にかけて、ロンドン五輪代表選考を兼ねた陸上の日本選手権が行なわれ、翌11日には代表選手39名が発表となった。

 今大会では、やり投で村上幸史の13連覇を阻止したディーン元気を筆頭に、大学生の活躍が目立った。その一人が、大学4年生、400mハードルで代表に選ばれた岸本鷹幸である。

 準決勝で岸本を含め5名が参加A標準を上回り、激しい争いが予想された決勝。しかし岸本は他を圧倒する走りで今季世界ランキング3位に相当する48秒41の好タイムで優勝。代表の切符を手にした。

「終盤も今までになかった感覚があって、体重を乗せるだけで前に進みました」

 今シーズンは5月の静岡国際で自身初の48秒台となる48秒88をマークして優勝するなど上昇気流に乗る。その原動力には、昨年の屈辱がある。

 高校時代、数々の全国大会で優勝し、大学入学後もユニバーシアード銀メダルなど着実に成長してきた岸本は、昨夏、世界選手権に初めて出場したが、50秒05で準決勝敗退に終わる。左太腿裏の故障による練習不足が原因だったが、同時に海外のトップクラスの選手との差を痛感させられることになった。

上昇気流の原動力は、昨夏の世界選手権での屈辱。

「圧倒的な走力の差を感じました」

 もともとハードリングの技術に定評があるが、それだけではかなわないことを思い知らされ、打ちのめされた。

 だが、そのままでは終わらなかった。

「ロンドンで雪辱したい」と誓うと、新たな強化策を試みる。今シーズン開幕前には400mのロンドン五輪代表、金丸祐三と一緒に練習を積み、走力の向上に努めた。また、身長がほぼ等しい為末大のフォームを研究し、前半のハードル間の歩数を同じパターンに変えた。これらがはまり、好成績につながっている。

 400mハードルは、為末が海外の選手との身体能力の差を埋めようという創意工夫でもって、第一人者として活躍してきた。折りしも今回の日本選手権で為末は引退を表明し、工夫を凝らしたトレーニングで飛躍した岸本が優勝した。

 好記録をマークし続ける岸本だが、まだ為末の持つ日本記録、47秒89には届いていない。その記録の更新を見据えつつ、正真正銘の後継者となるべく、今夏のロンドンに挑む。

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