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佐藤寿人が“叩き上げた”
J1通算100得点の価値。
~J2で覚醒したストライカー~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byAFLO

posted2012/04/30 08:00

J1通算得点の記録は中山雅史の157点。まだ30歳の佐藤はどこまで記録を伸ばせるか。

J1通算得点の記録は中山雅史の157点。まだ30歳の佐藤はどこまで記録を伸ばせるか。

 J1第5節G大阪戦で、広島の佐藤寿人がJ1通算100ゴールを達成した。日本屈指の点取り屋が、ある意味でたどり着くべくしてたどり着いた記録は、しかし、彼がプロ入り後に歩んだ道程を振り返ると、感慨深いものがある。

 これまでにJ1通算100ゴールを記録した選手は、佐藤で10人目。うち6人が日本人選手なのだが、そのなかに、100ゴールを記録した時点でJ2でのプレー経験を持っていた選手は、佐藤を除いて他にはいない。

 市原(当時)ユースからトップに昇格してしばらく、鳴かず飛ばずの日々を過ごした佐藤。プロ入り3年目の'02年、出場機会を求め、当時J2のC大阪へ移籍したのも、当然の成り行きだった。

 ところが、J2でも思ったような活躍はできず、1年で仙台へ再移籍。すると今度は、自己最多の9ゴールを挙げるも、チームがJ1からJ2に降格してしまう。

 そして翌'04年、再び戦いの舞台をJ2に移した佐藤は、そこで得点ランク4位の20ゴールを記録。ようやく点取り屋として、覚醒するに至ったのである。

 すなわち、佐藤はJ2で鍛えられて育った、いわば、叩き上げのストライカーというわけだ。

'04年以来、J1J2通算で8年連続2桁ゴールを継続中。

 彼は以前、2年連続でJ1の日本人得点王になった後もなお、こんなことを話している。

「今のままでは、いずれ点が取れなくなる。そういう危機感は常に持っている」

 貪欲なまでの向上心は、厳しい下積みの経験があればこそ。'04年以来、J1J2通算で8年連続2桁ゴールを継続中だが、何より「コンスタントに点を取り続けていること」は、彼の誇りだ。

 今も昔も、Jリーグで最も外国人選手への依存度が高いポジションは、FWである。クラブにとっては、最も効率のいい強化なのだから無理もないが、割りを食うのは日本人FWだ。

 当然、狭き門だからと控えに甘んじているだけでは、順番は回ってこない。選手自らが成長する術を考え、行動を起こさなければ、生き残ることはできないのだ。佐藤も「試合に出て学んだことは多かった」と、仙台時代を振り返る。

 100ゴールは、もちろん、それ自体が立派な勲章である。だが、J2からの叩き上げで到達した記録には、また別の、大きな価値があるのではないかと思う。

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