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好調、FC東京が示す
指導力とフロントの差。
~浦和、ガンバ、鹿島と比較して~ 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byAFLO

posted2012/04/14 06:00

好調、FC東京が示す指導力とフロントの差。~浦和、ガンバ、鹿島と比較して~<Number Web> photograph by AFLO

攻撃サッカーでFC東京スタイルの確立を目指すポポヴィッチ監督。

 J1第2節、昨季2位の名古屋を迎えた試合前、FC東京のポポヴィッチ新監督は少し不満そうだった。

「空席が目立つのは残念だ。雨だからかもしれないが、天候にかかわらず、大勢の方に来てもらいたい」

 入場者数は2万1757人。味の素スタジアムの収容人数は約5万人だから、半分にも満たない。だが監督が言うように、雨を理由に来場を見合せた人がいたとしたら、勿体ないことをした。スペクタクルな逆転劇を見損なってしまったからだ。

 20年目を迎えたJリーグで、J2からJ1に復帰したFC東京が好調だ。開幕3連勝を飾って5節終了時点で3位につけ、旋風を巻き起こしそうな勢いなのだ。

 昇格チームが台風の目となる例は、珍しくない。'09年の広島や'10年のC大阪はACL圏内に食い込み、昨季の柏は優勝している。共通するのは、1人の監督に長期政権を託した点だ。J2降格もチームを成熟させる良い機会と捉え、揺るぎないスタイルを身につけてJ1に復帰した。だが、FC東京の場合は異なる。新シーズンをあえて新監督の手に委ねたのだ。

 それゆえ、苦戦を予想する向きもあった。ただでさえ天皇杯王者としてACLに出場するため、過密日程を余儀なくされる。そのうえ監督が代われば、チーム作りが遅れる可能性も少なくなかった。

新監督選びのポイントは、パスサッカーを継承・発展できる人材。

 ところが、そうした不安を一掃し、ACLでも1勝2分で首位に立っている。これは一体どうしたことか。その背景にあるのは、ポポヴィッチの手腕とフロントの確かな眼だ。

 もともとポポヴィッチの巧みなチーム作りには、定評があった。'09年には解任されたシャムスカの後任として大分の指揮を執り、最後は10戦負けなしでシーズンを終えた。昨季も町田を1年でJ2に導いている。

 標榜するのは「攻撃的で美しいサッカー」。DFからパスをつないで攻撃を組み立てていき、横に斜めにボールを動かしたあとでルーカスに入れる縦パスを合図に、石川直宏や梶山陽平らがサポートしたり、裏を狙う。リスクを負って飛び出していく様は、指揮官の恩師、オシムが率いた頃の千葉に通じるものがある。

 新監督のスタイルが根付きやすい土壌があった点も見逃せない。クラブのフロントは「城福(浩元監督)さんと大熊(清前監督)さんの下で築いたパスサッカーを継続し、発展できることが人選のポイントだった」と明かし、「大分時代の試合はすべて見たし、町田の試合も確認した」ともいう。監督は代われども、スタイルは継続されているのだ。

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