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バイエルンがリヨンに余裕の大勝。
ファンハールは欧州一傲慢な監督? 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byBongarts/Getty Images

posted2010/04/28 11:35

バイエルンがリヨンに余裕の大勝。ファンハールは欧州一傲慢な監督?<Number Web> photograph by Bongarts/Getty Images

このバイエルンの異常な落ち着きぶりの理由とは?

 それにしても、この大一番でのバイエルンの落ち着きぶりは異常だ。

 第1レグ後のマッチコラムで、「ファンハール監督は戦略家か? それとも臆病者か?」と筆者は書いた。

 追加点を狙える状況だったのに、好調のロッベンを下げて、守備的な采配を振るったからである。いくらバイエルンに攻撃力があろうと、第2レグでゴールを奪える保証はない。点を取れるときに取っておかないと、後で後悔するのではないか……と考えていた。

 しかし、第2レグを終えた今、ファンハールは、戦略家でも、臆病者でもない、というのが率直な感想だ。いや、正確に言えば両方の資質を兼ねそなえているのだが、もっと彼を表現するのにふさわしい言葉がある、と思うようになったのである。

 それは、「傲慢」。

 人気漫画のタイトルを借りるなら、まさにファンハールはサッカー界の「ゴーマニスト」だ。その彼の哲学が選手に乗り移り、自陣でもとことんパスをまわすという、質実剛健のドイツチームらしからぬ、大胆な試合運びにつながったに違いない。

 試合後、ファンハール監督は不敵に笑った。

「今日は素晴らしい試合をした。しかし、私たちはまだ、何も勝ち取ってない」

 技術レベルでは、バルセロナより劣っている。

 フィジカルレベルで、インテルより強いとは言えない。

 だが、傲慢さだけなら、バイエルンは十分に欧州一を狙う資格がある。

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