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アフリカ選手権の現実と
選手が見据える大陸の未来。
~サッカーを通じて貧困の撲滅を~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byAtsushi Kondo

posted2012/03/21 06:00

大会は2月12日まで約3週間で行なわれ、食糧危機のニジェールからもファンが駆けつけた。

大会は2月12日まで約3週間で行なわれ、食糧危機のニジェールからもファンが駆けつけた。

 ザンビアの優勝で幕を閉じたアフリカ選手権は、集客の面ではいまひとつの成果に終わった。開催国のガボンと赤道ギニアは共にグループ突破をしたが、5000フラン(約900円)というチケット代は、1日の生活費が1000フラン以下という赤道ギニアの人々にとっては高すぎた。国内リーグもそれほど盛んではなく、スタジアム観戦の文化が地元民に定着していないことも低迷の理由といわれている。

 しかし現地の集客数とは対照的に、世界でのアフリカ選手権の知名度と人気は高まりつつある。今大会も世界各国でTV放送されたように、チェルシーのドログバやマンCのヤヤ・トゥーレ、バルセロナのケイタらのプレーは、彼らの所属クラブのファンの興味も惹きつけている。

 そんな大会のブランドと有名選手を、アフリカの貧困撲滅活動に役立てようとする動きも見られた。

 マリ、セネガル、ニジェール、ブルキナ・ファソの4カ国の選手たちは、大会中にOxfam InternationalなどのNGO団体を通して国際支援を訴えた。これらの国があるサヘル地域は、昨年から続く干ばつにより食糧危機に瀕している。ニジェールでは600万人、マリでは300万人が危機に直面しており、穀物の生産量は25%下落し、食料価格は高騰。マリの一部地域では前年比で価格が倍になっているという。

シーズン中にもかかわらず、誰もこの大会への参加を厭わない。

 マリ代表のケイタは「いま動き出せば、食糧危機ではじめに犠牲になる子供や女性の命を救うことができる。何百万人の子供が助かって、健康に学校に行くことができるんだ」とメッセージを送った。

 アフリカ選手権を主催するアフリカサッカー連盟も、大会中にAU(アフリカ連合)と、各地域の紛争問題解決のための「Make Peace Happenキャンペーン」における提携関係を結び、20万ドルの寄付を発表している。

 世界の目が集まるアフリカ選手権を上手く利用し、アフリカが抱えるピッチ外の問題解決へと繋げる――。このような試みは今後も続くはずだ。アフリカの選手たちはシーズン中にもかかわらず、誰もこの大会への参加を厭わない。

 この大会の意味が、サッカーだけではなく、アフリカの未来のためでもあると自覚しているからなのだろう。

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