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“なでしこの星”の魅力満載!
澤穂希本2冊を読み比べ。
~リーダー論から恋愛観まで~ 

text by

芦部聡

芦部聡Satoshi Ashibe

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posted2012/01/01 08:00

“なでしこの星”の魅力満載!澤穂希本2冊を読み比べ。~リーダー論から恋愛観まで~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『負けない自分になるための32のリーダーの習慣』 澤穂希著 幻冬舎 1200円+税/ 『夢をかなえる。思いを実現させるための64のアプローチ』 澤穂希著 徳間書店 1200円+税

 '11年のスポーツ界を代表する顔といえば、なでしこジャパンをおいて他にないだろう。サッカー女子W杯優勝、国民栄誉賞、流行語大賞……とビッグタイトルを総なめにした彼女たちは、出版界をも席巻した。なでしこ関連本が相次いで出版され、『an・an』は11月9日発売号の表紙モデルに、“おしゃれ番長”こと川澄奈穂美選手を起用するなど、フィーバーはいまだ冷めやらない。

 なでしこラッシュの真打ちを務めるのは、W杯得点女王にしてMVP、'12年1月9日に発表されるFIFAバロンドールの最終候補にも選出された、キャプテンの澤穂希選手である。'08年に刊行された自伝『ほまれ』はW杯優勝後に増刷されて、発行部数7万部を突破。さらには、この11月に著書2冊が発売日1日違いで連続刊行されるという快挙を成し遂げた。

 先発は11月17日に発売された『負けない自分になるための32のリーダーの習慣』。帯には「目標は『言葉』にすれば、必ず実現する! 成功を引き寄せる、『有言実行』のメンタル術」との惹句が踊る。W杯でのエピソードを開陳しつつ、個性豊かななでしこたちをひとつにまとめ上げたキャプテンシーの源泉を紐解いているのだが、澤選手の主張はシンプルであり、かつ普遍的なものである。

「リーダーは、みんなと同じじゃだめで、やっぱりみんなとは違うというところを見せないといけません。でも、そのためには、まず自分が人の何倍もの努力もしないといけない」

 リーダーたる者、背中で語れ――高倉健ばりの佇まいがファンから“アニキ”と慕われるゆえんであろうが、本書の白眉は、一章をまるまる割いてプライベートについて言及している「自分らしくあるための9つの習慣」にある。

ラモス瑠偉が、中学生時代の澤に与えた大きな影響。

 読売ベレーザに所属していた中学時代、ヴェルディ川崎(当時)の「お兄さんたちに遊んでもらっていた」思い出を回想。「学校を終えて、夕方に練習場でボールをひとりで蹴っていると、たまにラモスさんたちが、一緒にボールを蹴ってくれたり、ボール回しをしてくれた」が、「ボールを取られたら、本気でスライディングしてくる」と、大物選手の大人げのなさを訴える。だが、たとえ女子中学生が相手でも真剣に取り組むラモス瑠偉御大の姿勢は、澤選手のサッカー人生に大きな影響を与えたことは想像に難くない。

 ピンクのカバーに巻かれた、頬杖をついて微笑む澤選手の帯が印象的な『夢をかなえる。思いを実現させるための64のアプローチ』では、「恋愛を楽しむ。」とのそのものズバリのパートで、自身の恋愛観に踏み込んでいる。

【次ページ】 告白は「自分からはどうしても言い出せない」タイプ。

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