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下馬評を覆して勝利を
手にしたRENAの意地。
~神村エリカを破った意味~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySusumu Nagao

posted2011/12/20 06:00

下馬評を覆して勝利を手にしたRENAの意地。~神村エリカを破った意味~<Number Web> photograph by Susumu Nagao

神村の間合いを右回りのステップで外し、攻撃したRENA(右)。3-0の判定勝ちを収めた

 終わり良ければ全て良し。11月23日、東京ドームシティホールで行なわれた『RISE85』でRENAが大方の予想を覆して神村エリカに判定勝ち。初代RISEクイーン王座を奪取するとともに、長いスランプに終止符を打った。

 RENAにとって今年は散々な1年だった。4月に組まれた神村とのガチンコ・エキシビションマッチで実質2度のダウンを奪われるや(勝敗はなし)、2カ月後には高橋藍に敗れてホームであるシュートボクシングの女子王座奪取に失敗。直後には引退も考えた。そして神村との前哨戦として組まれた国際戦でも、まさかの判定負けを喫してしまった。

 対照的に神村は昨年春以来13連勝をマーク。“女子最強”の名をほしいままにしていた。当然、戦前の勝敗予想でも神村有利が大多数を占めていた。にもかかわらず、RENAがアップセットを起こせたのは徹底的に神村の動きを研究して十分な対策を立てたからだろう。

 神村の最大の長所は他の女子選手を圧倒するパンチ力。神村がラッシュを仕掛けると、対戦相手は恐怖心にかられて後ろに下がってしまう。しかし、この日のRENAは違った。神村が前に出てくると、サイドにステップして相手の2発目に合わせて右ストレート。この右を何発も食らっていくうちに、神村は完全にリズムを崩してしまった。

シュートボクシングの総本山、シーザージムでの猛練習の成果。

 クリンチワークのうまさも見逃せない。焦った神村がどんどん前に出てくると、RENAはコンタクトする一方で、極力ホールディングは控えていた。RISEでクリンチは厳禁。手詰まりになった神村は次第に組み付く場面が増え、結局2度も減点1のレッドカードをもらってしまった。

 近頃、女子の立ち技でこれだけ技術論が語れる試合も珍しい。作戦と技術で勝ったところにRENAの成長が隠されている。全てはシュートボクシングの総本山として知られるシーザージムで、タイ人トレーナーを相手に朝昼晩の3部制の猛練習に励んだ成果だ。試合後、RENAは久しぶりに笑顔を取り戻した。

「今年はこれが最後になると思うけど、最後に勝てて良かった。ここで神村選手に勝たれたら、ひとり勝ちで面白くない」

 来年は過去1勝1敗と五分の高橋との決着戦が控える。辞めないで良かった。

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