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野球人生最大の危機を
松坂大輔は克服できるか。
~試練のなかで明かした胸の内~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2011/12/16 06:02

野球人生最大の危機を松坂大輔は克服できるか。~試練のなかで明かした胸の内~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 ゆったりとしたモーションから繰り出される高回転の球筋には、とても故障者とは思えないほど、新たな力強さが芽生えていた。レッドソックス松坂大輔が6月10日に右肘の靱帯移植手術を受けてから、5カ月以上が経過した。11月中旬の段階で、投球練習は距離約30m、球速130km前後まで戻った。その間、フロリダ州フォートマイヤーズで孤独なリハビリに専念してきた松坂は、慎重に言葉を選びながらも、ハッキリと手応えを口にした。

「フォームを大きく使えて、少しずつ形が見え始めてきた感じですね」

 近年では珍しくなくなったとはいえ、投手生命を左右しかねない大手術だった。成功率9割のデータが残る一方で、再手術を経ても復帰できないケースは少なくない。日米両国で常に注目されてきた松坂にとって、重大な決断だった。手術直前には「野球人生の最大のピンチ」と受け止め、「試練を与えてくれた野球の神様に感謝できるようになれたらいいです」と、苦しい胸の内を明かした。

クリスマスも無休で練習を続け、新年早々には練習を再開予定。

 その一方で、切り替えも素早かった。リハビリ開始直後は、しばらくテレビで野球中継を見ることもしなかった。血が噴き出すほどの患部マッサージの痛みに耐え、右肘以外の筋力強化にも時間を費やした。気分転換を兼ねて、読書、釣り、サイクリング、カメラなど、これまで以上に趣味の幅を広げた。すべては、マイナス思考を排除し、プラスに転じさせるための手段だった。

「苦しい状況でも、苦しく見せたくはない。それは試合に負けた悔しさを見せず、笑って次の日に切り替えるのと似ています。これからの野球人生に生きる1年にしたいですね」

 年末はクリスマスも無休で練習を続け、新年早々にはフロリダで練習を再開する予定。1月初旬にブルペンで投球を始めるプランに乱れはない。当初の予想では、球宴後の7月中旬あたりがメドだったが、順調なら6月中のメジャー復帰への可能性も膨らむ。それでも、松坂は毅然と言った。

「メジャーのマウンドに戻ることだけがゴールじゃないですから」

 焦りも、高ぶりもない。チームとは契約切れとなる来季。メジャー復帰の瞬間、松坂の第2のストーリーが始まる。

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