濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER

ついにK-1戦士達もちりぢりに……。
それでも久保優太が守る王者の誇り。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byTakao Masaki

posted2011/11/22 10:30

ついにK-1戦士達もちりぢりに……。それでも久保優太が守る王者の誇り。<Number Web> photograph by Takao Masaki

11月12日のKrush後楽園大会に出場し、フランス国内王者のトリスタン・ベナード(写真右)を圧倒した久保優太。1987年生まれの24歳と、若手格闘家として試合ごとに成長し、その強さを増している

戦うリングがどこであれ「自分がK-1王者なんだ」。

 身長差を突進力でカバーしようとするベナードを、久保は射程距離の長い蹴りで突き放していく。試合の流れを寸断するクリンチに対してはボディブローを連打する。2ラウンドに左ハイキックを命中させ、フィニッシュはボディを意識させておいての右フック。3ラウンド52秒、久保はメインイベンターの仕事をきっちりと務めあげた。海外の強豪を相手にした“世界レベル”のKO勝ちだ。

「前回の試合で倒しきれなかったので、トレーナーに“詰める”技術を教わったんです。その成果が少し出ました」

 そう試合を振り返った久保は、自身が置かれた状況と、その中での目標も語っている。

「63kg級には、海外に強い選手がゴロゴロいますから。そういう選手とK-1の世界トーナメントで闘いたかったんですけど、それが叶わないなら、一人ずつ闘ってトップになりたい。自分がK-1王者なんだという自覚をもってやっていきたいです」

 舞台がどこであろうと、久保はK-1王者として闘っているのだ。今回のベナード戦は、いわば“ひとり世界トーナメント開幕戦”。興行がなくなっても、王者のプライドは失われない。

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久保優太
トリスタン・ベナード

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