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未来の日本代表は
サッカーを科学する?
~バナナシュートはなぜ曲がるのか~ 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byToshiya Kondo

posted2011/09/22 06:00

イベントには北澤氏と岩本輝雄氏が参加し、バナナシュートや凧揚げの見本を披露した

イベントには北澤氏と岩本輝雄氏が参加し、バナナシュートや凧揚げの見本を披露した

 科学とサッカーの融合――。夏休み真っ只中の8月20日、東京・国立競技場でJリーグの試合前、小学生と保護者50組100人を対象に「親子で学ぶサイエンスサッカースクール」が初めて開催された。サイエンスサッカーとはその名のとおり、サッカーを科学で学ぼうというのがコンセプトである。

 今回のテーマは、どうしてバナナシュートは右や左に曲がるのか。

 ボールを蹴って時計回りの回転を働かせると、発生する向かい風の力で右に曲がる。時計と逆回りの回転をかけると、左に曲がる。この力を「マグヌス効果」と呼び、ボールの模型と扇風機など実験道具を使いながら「バナナになる」原理を分かりやすく説明していくのだ。

 次に回転のかかりやすい軽量のボールを使って実践編に移行。そして「マグヌス効果」を子供たちにより楽しく実感してもらうために、風を受けた回転翼が上昇する力を生み出すという特製の「マグヌス凧」を揚げるプログラムもあった。

「理屈を分かっていれば(習得の)スピードも違ってくる」(北澤豪氏)

 このイベントを主催したのが、今年からJリーグのオフィシャルスポンサーを務める半導体製造装置の大手、東京エレクトロン社。スクールを企画した安原もゆる氏は開催の意図をこう語る。

「日本は技術立国ですが、今の子供たちは理科離れが進んでいると言われています。子供たちに将来の日本を支えてもらう意味でも、科学や技術に少しでも興味を持ってもらいたいというのがサイエンスサッカーを企画した理由の一つです。科学を身近なものとして捉えてもらったうえで、サッカーの上達に結びつけてもらえればと考えています」

 サッカーを科学で紐解いていくことで、テクニックのコツを掴むヒントにもなりそうだ。この日、ゲストとして参加した元日本代表の北澤豪氏も「何故、こうなるのかという理屈を分かっていれば(習得の)スピードも違ってくる」と、サイエンスサッカーの浸透に期待を寄せる。

「親子で学ぶサイエンスサッカースクール」は今回を皮切りに、Jリーグと協力を図りながら年内には熊本と仙台で開催される予定だ。今後はバナナシュートなどのテクニック面ばかりでなく、スパイクやウェアなど用具にも科学の目を向けていくという。日本ならではの新たなアプローチに、注目が集まっている。

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