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「スペシャルワン」のスペシャル改革 

text by

酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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photograph byMaurizio Borsari/AFLO

posted2009/04/01 22:25

「スペシャルワン」のスペシャル改革<Number Web> photograph by Maurizio Borsari/AFLO

 インテルのモウリーニョ監督が24日、来季に向けて具体的なチーム大改革を明かした。同日、伊メディアの取材に応じた指揮官は無敵軍団を構築するための必須条件として「将来有望な若手選手4、5人を擁する」「所属選手の縮小」「クラブハウスの改良」「一流選手4人獲得」の4つを掲げた。今季のインテルには強さの骨子が見えてきたとはいえ、モウリーニョサッカーの神髄である「無敵」にはまだ及ばないと言わんばかり。リーグ優勝という身近な目標を一時的に封印するかのように、名将は今後のインテルのあるべき姿について熱弁を振るった。

 中でも指揮官が執着する一流選手の補強についてインテルの会長が難色を示したのは言うまでもない。開幕直前に大金を叩いて獲得したMFクアレズマは、名将から及第点を得られず新年早々に英国へ移籍。監督が太鼓判を押した新加入のMFマンシーニも、新天地で本領を発揮できないゆえにベンチを温める回数が激増した。MFムンタリは度重なる反則で出場停止を頻発。このように「スペシャルワン」が見込んだ新加入たちは活躍して当然の期待を裏切り、チームは重圧を背負うことになった。それでも、指揮官は「戦闘力の高い4人の“トップ”プレイヤーが加入すれば欧州王者奪回も可能」と達観したかのような口ぶりで、すでに彼の脳裏には青写真が出来上がっていることを匂わせた。

 モウリーニョ監督が敢行しようとする「突貫工事」のうち、私が興味を抱いたのは「クラブハウスの改良」だ。インテルのクラブハウスはイタリア北部のコモ湖近郊に位置する。該当する建物は60年代前半と老朽化が進み、チームが利用する宿泊施設の暖房完備が不十分な上に会議室もない。イレブンは恐るべき環境下に置かれているのがわかる。数年前、チェルシーのスポーティングセンターの改築に携わったモウリーニョ監督だけに、古臭さが漂うだけでなく設備そのものが機能しないクラブハウスに不満を持つのは当然だ。

 監督が危惧するのは選手たちの心身の疲労。強制収容所のような不備なクラブハウスが原因で彼らが精神面、肉体面で相手より劣っているという被害者意識を持っているのではないかという点だ。そこでモウリーニョ監督は勝つための法則として環境の重視を指摘。選手のコンディション良好を維持するには、快適な環境を備えるべしとした。更にモウリーニョらしいサッカーを目指していくには外部と完全に遮断する必要性にも言及。クラブハウスも時代と監督のニーズに応じて変わって行くべきだとモウリーニョ色を全面に出した。

 では「スペシャルワン」の「スペシャルな」要望をかなえるだけの資金はどのように得る?

 インテルは早々と放出要員リストを掲げ、1億8000万ユーロの移籍金をモウリーニョ新体制に捻出しようと画策中。リストにはFWアドリアーノ、MFクアレズマ、MFマンシーニをはじめ、自ら移籍を希望するFWイブラヒモビッチも対象者に加わり、高給取りのMFビエラ、DFマテラッツィも放出される見込み。若手の台頭を最大限に利用する。セリエAのルーキーにして快進撃を見せた若干19歳のDFサントン、同じくティーンエイジャーのFWバロテッリといったユースから逸材を徹底的に洗い出して若手を戦力とするユーティリティーで金銭問題をも吹き飛ばそうというわけた。

 チームが進化するために来季はカネの使い道を変えてみようというのがモウリーニョ監督の新概念。「4本柱」には気持ちが込められており、それは指揮官にとって結果を最優先するべくセリエAでの「最後の賭け」にも聞こえた。

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