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相撲界の真価が問われる
半年振りの本場所開催。
~名古屋場所の見どころと課題~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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posted2011/07/09 08:00

相撲界の真価が問われる半年振りの本場所開催。~名古屋場所の見どころと課題~<Number Web> photograph by KYODO

 天皇皇后両陛下ご臨席の「天覧相撲」があったのが、今年1月の初場所初日のこと。思えば昨年の名古屋場所は賭博問題でNHKの生中継が中止となり、天皇賜杯をはじめとする数々の表彰も自粛。優勝旗だけを寂しく受け取った白鵬の涙が、記憶に新しい。年が明けてのこの天覧相撲は、その「禊が済んだ」証左ともなっていたのだが――。場所後にはさらなる激震、「八百長問題」が勃発してしまった。3月大阪場所は中止、続く5月夏場所は「技量審査場所」と称され、興行色を排除した異例の本場所として幕を閉じた。

 放駒理事長曰く「やっと一段落ついた状態」の相撲協会一行は、6月上旬、岩手、宮城、福島県の10カ所の被災地を慰問。各地で大歓迎された力士たちの姿を見て、同理事長は感慨深げにこう言った。

「励ますつもりが逆に励まされてしまいました。いろいろな問題で迷惑も掛けたわれわれを、ありがたいことに笑顔で受け止めてくださった。お返しとして、やはり力の入った相撲をお見せしないとね」

ファン待望の本場所のはずが、前売り券の売れ行きは今ひとつ。

 被災地を訪れた力士たちは、その惨状を前にみな一様に息をのみ、それぞれに心に期すものがあったようだ。1日2度の鎮魂の横綱土俵入りを務めあげた白鵬は、この名古屋場所、前人未到の8連覇が掛かっている。どこの被災地でも一番人気で、「まだまだ頑張って現役続けてね!」と激励されていた最年長大関魁皇は、通算勝ち星歴代1位の記録1045勝に挑む。賭博問題で解雇処分となった琴光喜以来、4年振りの日本人大関誕生が期待されるのは、その弟(おとうと)弟子の琴奨菊だ。昇進ノルマの12勝達成なるか。

 八百長問題を受けて大量の力士が引退し、13人もの新十両、再十両力士が土俵に上がる稀有な場所ともなる。相撲界の隠語である「家賃が高い」とは、「分不相応、力不足」という意味で使われるのだが、たった1場所で幕下に陥落してしまう「家賃が高い」力士も出るだろう。

 実に半年振りに通常開催される、ファン待望の名古屋場所となるはずなのだが、噴出した数々の問題で、見放されてしまったのだろうか。前売り券の売れ行きは今ひとつ。

 新十両力士はもちろんのこと、相撲協会自体も、その真価と「実力」のほどが問われる場所となる。

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