EURO2004 速報レポートBACK NUMBER

敗戦の中でオランダが得たもの。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2004/07/01 00:00

敗戦の中でオランダが得たもの。<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 最後の最後でオランダは、ひとつのチームになった。

 後半が始まるとき、ファンニステルローイがピッチにいた全員に抱きつき、激を飛ばしていた。マンチェスターUではスターでも、代表チームでは何の結果も出していない。初めてのビッグトーナメントだったこともあり、大会の当初はピッチの上でも本当におとなしかった。それが今では率先して声を出すようになり、スウェーデンとのPK戦では一番目のキッカーに立候補している。ファンニステルローイは、オランダの新リーダーになりつつある。

 ファンニステルローイだけではない。途中出場のファンデルファールトは、ベンチの選手全員とハイタッチをしてからサイドラインに向かった。セードルフは試合開始前に“スリナム流”に胸をぶつけあって、仲間を鼓舞した。

 EURO開幕前にセードルフの監督批判でチームが分裂しかけていたこともあり、初戦のドイツ戦では選手どうしが試合中に話し込む姿はほとんど見られなかった。それが大会を勝ちあがっていくことで、準決勝では完全にチームとしてまとまっていたのである。人種問題や、アヤックス勢とPSV勢との確執が日常化しているオランダ代表では(例えばPSVのロッベンは、ユース代表時代にファンデルファールトらアヤックス勢にいじめられたことを、未だに根に持っている)、考えられないことだった。

 しかし、そのオランダ代表を持ってしても、ポルトガルの勢いを止めることはできなかった。ポルトガルがチャンスになるたびに観客がジャンプを繰り返し、79ミリオンユーロ(約100億円)かけて新築されたジョセ・アルベラーデ・スタジアムは横に揺れた。同時に観客が持っているマフラーを振り回し、攪拌機にかけたかのようにスタジアムの空気も揺れていた。

 ポルトガルはコーナーキックからロナウドがヘディングゴールを決め、後半にはマニシェが奇跡的なミドルシュートをサイドネットに叩き込んだ。オランダはオウンゴールで1点を返したものの、結局1対2で敗戦。オランダはベスト4で大会から姿を消すことになる。

 だが、タイトルを取れなかったとはいえ、オランダが得たものは大きい。ファンニステルローイがリーダーとなり、チームがひとつにまとまることができた。だからこそ、今大会のオランダは戦う集団であり、粘り強さがあった。2004年9月に始まるW杯予選で、オランダ代表はさらに進化した姿を見せてくれるはずだ。

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