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ベネズエラ戦で感じた
岡田監督への違和感。 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2010/02/06 08:00

ベネズエラ戦で感じた岡田監督への違和感。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

小笠原や平山などの新戦力に注目が集まったが、0-0のスコアレスドローに終わった

 主力を半分欠いたベネズエラをホームに迎え、何の面白味もない0-0の試合をした直後だというのに、岡田サンは気まずそうな素振りも、悪びれた様子も一切見せず、試合後の記者会見に臨んだ。

 このギャップには毎度驚かされるが、今回はそれに加えて、会見の中身も輪をかけていた。聞いているのが嫌になるほど、お粗末な発言が相次いだ。

「攻撃に関しては、プレッシャーに慣れていないこともあったのですが、いかんせん中盤選手のタイプが中でプレーする選手が多くて……」

「小笠原は中に入ってプレーするタイプの選手なので……」

「中盤で1回、2回かわせてもすぐに潰されるというのが続いて、どう対処するか、ずっと我慢していました」

「ちょっとヒントとして、中盤が中に入りすぎるなら、サイドに1人、サイドバックを置いてはどうかと話しました。少しできるようになったと思いますが、その後は大久保に左サイドに張らせて、それからボールが動くようになったと思います」

小笠原のプレー適性が「中」にあることは知っていたはず。

 小笠原のプレーの適性が「中」にあることは、一体いつ分かったのか。

 小笠原はずっと有名選手でいるベテランである。Jリーグを制した鹿島の主将として、昨季はMVPにも輝いている。代表選出は久しぶりとはいえ、急に代表戦に臨んだわけでもない。試合前には、1週間におよぶ合宿に参加していたわけだ。

「中」でプレーすることが好きな選手を、岡田ジャパンにどう当てはめるか。それは、彼を招集した段階で、衆目の一致するポイントだった。

 それを前提に、指宿合宿に臨んだのではなかったのか。それを前提に、ベネズエラ戦に臨んだわけではなかったのか。もっと言えば、そうしたキャラクターの持ち主だからこそ、これまで代表に招集しなかったのではなかったのか。

 それが上手くいかなかった理由だと述べる岡田サン、誰もが知る常識を、今さら口にする岡田サンに、開いた口は塞がらなかった。

国際Aマッチの価値を岡田サンはどう考えているのか?

 しかもだ。試合中、選手たちがそれにどう対処するか「ずっと我慢していた」というから恐ろしい。鹿屋体育大学と練習試合を行なっているわけではないのだ。ベネズエラ戦は、れっきとした国際Aマッチ。カテゴリー1の当日売りが6500円もする高価な試合だ。親善試合といえども、民放のキー局がゴールデンタイムで生中継する一大イベントだ。

 日本全国にサッカーという「商品」を宣伝するこの上ない機会。サッカー人気、サッカー産業の浮沈を懸けた大一番といっても言いすぎではない。可能な限り良いステージを披露することが、その国の代表監督に課せられた使命であるにもかかわらず、岡田サンはじっと我慢したのだそうだ。感覚がズレているとしか言いようがない。

【次ページ】 プロのサッカー監督とは負ければ地位を追われる勝負師。

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