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石川遼は優勝争いよりスイング優先!
賞金王の条件は「11月に5位以内」。 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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posted2009/09/04 11:30

石川遼は優勝争いよりスイング優先!賞金王の条件は「11月に5位以内」。<Number Web> photograph by KYODO

今季はすでに2勝している石川遼。8月下旬時点で、1位池田勇太、2位石川遼、3位片山晋呉という賞金ランク

 優勝争いの最中、「僕はまだまだそれどころじゃない」と石川遼は言った。

 国内男子ツアーのVanaH杯KBCオーガスタ、石川は第3ラウンドを終えて単独首位に立ち、今季3勝目のチャンスをつかんだ。しかし、スコアを伸ばして3日目を終えたにもかかわらず、口にするのは自分のスイングへの反省ばかり。威勢のいい言葉はほとんど聞かれなかった。

「あまりにスイングがひどい」「トップからの切り返しでマックスのスピードが出せていない」「このゴルフじゃ絶対に勝てない」

 あえて無関心を装うことでV争いのプレッシャーを和らげようとしていた様子もない。不満と焦りに満ちた表情は首位で最終日を迎える選手のものではなかった。

逆転を許した「最後の3ホール」でつかんだ手応え。

 夏に入ってからの快進撃はとどまるところを知らず、最年少賞金王が現実味を帯びて語られるようになってきた。そんな中で迎えた3勝目のチャンス。慌てて手を伸ばしてしまってもおかしくはないのに、そうならないのは様々な経験を積んできたからなのだろうか。そんな問いかけに石川は首を振った。

「逆にまだ経験が浅い分、優勝争いに集中してもしなくても結果は同じだと思う。優勝争いに集中した方が結果はいいかもしれないし、スイングに集中した方が結果はいいかもしれない。そのどちらがいいのかも分からない」

 正解の見えない状況の中で石川の思考は自分のスイングへと向かった。おそらくタイガー・ウッズなら常に優勝だけを意識してプレーしているはずである。石川の考え方が正しいかは分からないが、プロ2年目の17歳は常に先を見据えることで大きく成長してきた。

「世界のトップ選手はここで優勝争いを意識するだろうし、優勝争いに対する自分の思いはまだ弱いと感じてるけど、まだまだそれどころじゃない。僕が優勝争いを意識するのは最後の3ホールになってからでいい。それまではもっと自分を高めていくつもりでやりたい」

 結果は3位。最終日も優勝争いを引っ張っていったが、最後の3ホールでスコアを伸ばせずに逆転を許した。敗れたことへの悔しさはにじませつつも、「いいゴルフができたとしか言いようがない」と語る表情には満足感も漂っているように見えた。

11月まで5位以内で我慢すれば、賞金王も「あると思う」。

 シーズンはこれから後半戦に入り、もうすぐ賞金王争いも本格化する。ここでも石川のスタンスは明確だ。

「18ホールのプレーと同じで最後の3ホールで意識すればいいと思う。11月の試合ぐらいまではランキングは考えない。そこまでに5位以内で我慢できていれば、逆転の可能性はあると思う」

 ゴルフの完成度が高まっていけば、いつかは勝利に100%こだわる時もやってくるだろう。しかし、現時点では結果は二の次。優勝でさえも割り切ってしまえる考え方こそが石川を強くしている。

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