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異例ずくめの場所を経て、
歩み始めた信頼回復の道。
~7月10日名古屋場所に向けて~ 

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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posted2011/06/20 06:00

異例ずくめの場所を経て、歩み始めた信頼回復の道。~7月10日名古屋場所に向けて~<Number Web> photograph by KYODO

八百長防止の一環で開いた研修を受ける白鵬ら。講師からの厳しい指摘は約1時間続いた

 文部科学省指導のもと、異例の「技量審査場所」と銘打たれ、関係者の誰もが不安を抱えたままに幕を開けた、5月大相撲本場所。蓋を開ければ、入場無料ゆえ、1万1000人収容の国技館で連日6000人以上の入場者数を数え、ときには通常の本場所よりも客入りの多い日も。2月の八百長問題発覚後から、3月の春場所中止を経て、稽古だけに励まざるを得なかった力士たちが、土俵際の攻防の多い力の入った相撲を見せてくれた。千秋楽結びの一番は、すでに栃ノ心に1差で優勝を決めていた白鵬を、手負いの大関魁皇が下した大一番。大歓声とともに座布団が宙に舞った。

 興行色は一切排除し、懸賞金の垂れ幕もないシンプルな土俵上で、取組を見ることだけに集中でき、「格闘技」としての相撲の魅力も伝わったようだ。NHKの生中継がないことで、相撲協会のネット中継は、賭博問題で生放送のなかった2010年7月名古屋場所の10倍の数値、平均60万アクセスをはじき出した。「ニコニコ動画」では15日間で160万人以上が「ネット桟敷観戦者」となり、若い世代が大相撲の存在を知る好機ともなった。若い親方たちは「これを次に結びつけていかなきゃね」と目を輝かしている。

八百長問題の影響で生じた大量昇進に戸惑いを見せる力士も。

 八百長問題で25人の力士や親方が土俵を去り、場所後の番付編成会議では新十両7人、再十両6人と、一挙に13人もの力士が大量昇進。弟子の猛虎浪が引退し、交代するかのように弟子の持丸(改め飛天龍)が昇進した立浪親方は、「師匠としては正直、複雑な気持ちがあります」とその心情を吐露する。3勝4敗で負け越した西幕下筆頭の垣添は再十両昇進、東幕下三枚目の荒鷲も新十両に。どこか不安げで遠慮がちでもあり、喜びいっぱいの新十両会見とはいかなかった。

 誰にとっても異例ずくめだった技量審査場所。恒例の1週間の休暇を終えた力士や親方、行司などの全協会員が、5月30日、研修会のため国技館に集結した。放駒理事長は開口一番、こういった。

「真剣に土俵に向っていく姿を見せた場所を終え、これで信頼回復の第一歩を踏み出したのではないかと思う」

 安堵感を味わう間もなく、次の場所に向け、すでに力士たちは稽古を始動。「信頼回復の第二歩目」が踏み出されるのは、7月10日、名古屋場所初日の土俵の上だ。

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