SCORE CARDBACK NUMBER

下半身の衰え隠せぬ
魁皇に迫る土俵際。
~技量審査場所直前に見えた異変~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

PROFILE

photograph byMiki Fukano

posted2011/05/12 06:00

下半身の衰え隠せぬ魁皇に迫る土俵際。~技量審査場所直前に見えた異変~<Number Web> photograph by Miki Fukano

東関部屋への出稽古で後輩の稽古を高見盛と見守る魁皇(右)。稽古総見は体調不良で欠席

 最年長大関、魁皇のまわし姿に目を見張った。「技量審査場所」と銘打って、異例な形で幕を開けた5月場所。その場所直前、稽古場で目にした魁皇の下半身――太ももと臀部の筋肉の衰えが、誰の目にも明らかだったからだ。

 場所前恒例の体重測定では、1月の初場所に比べ、約6割の幕内力士の体重が減少。安美錦と栃ノ心に至っては、10kgも減っている。ちなみに初場所前の測定では、前11月場所と比較し、幕内平均体重プラス2.3kgだったが、今回の平均値はマイナス1.6kgを記録した。

 大関昇進11年目、38歳のベテラン力士である魁皇も、例外ではなかった。結果は9kg減の164kg。

「この2カ月間、ほとんど稽古できなかったから。下半身が特に落ちた」と自覚はあった。

 力士の体重減の原因として考えられるのはまず、八百長問題で3月春場所が中止となっての全体的な稽古不足。そして問題発覚後から実質の「外出禁止令」が下り、外食の機会が減ったこと、属する相撲協会が揺らいだことによる「心労」などが、影響を及ぼしたようなのだ。

「こんなに体重が落ちたら不安がある」(魁皇)

 しかし、元横綱武蔵丸の振分親方は、こう一刀両断する。

「そんなの全部言い訳だよ。うちの部屋の力士は、この期間ガンガンいい稽古をしていた。稽古すれば必然的に腹は減る。食べてまた稽古して、うちではみんな体重をキープしてる。体にも張りがあるよ」

 だが、魁皇は、こう胸のうちを明かしていた。

「春場所がなかったから崩れたんだろう。こんなに体重が落ちたら不安がある」

 昨年初めから、「場所中は毎日、取組を終えてから深夜まで、治療に専念しなければ土俵に立てなかった」というほどの満身創痍の体だ。もちろん満足な稽古もままならず、「気力と腕力」だけがその体重を支えていた。魁皇が所属する友綱部屋のおかみさんの言葉を思い出す。

「若い頃の魁皇は、上半身が細くて下半身だけが異常に立派で。ギリシャ神話に出てくる下半身が馬の――そう、『ケンタウルス』のような体型だったのよ」

 力士の衰えは下半身からだ、という。通算勝利数歴代2位。1035勝を更新中の魁皇は、千代の富士の最高記録1045勝を抜くどころか、正念場を迎え、土俵際に追い詰められている。

■関連コラム ► 場所中止でも震災後でも。鳴戸部屋の猛稽古は続く。~逆風はね返す「おしん横綱」の檄~
► 大相撲の生き残りを懸け、全協会員が一丸となれ! ~再生へ向け、正解なき険しい道~

関連キーワード
魁皇

ページトップ