横浜Fマリノスの28節現在での失点数は32で4番目に少ないものの、順位は11位にとどまっている

Jリーグから透けて見えた、
中澤・闘莉王コンビの課題。

木崎伸也 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Shinya Kizaki

photograph by Masahiro Ura

Jリーグから透けて見えた、中澤・闘莉王コンビの課題。

関連アスリート・チーム:

チーム・選手名
中澤 佑二
田中 マルクス闘莉王

 サッカーにおいてアンタッチャブルな存在を作ってはいけない。あらためて、強くそう感じた。

 Jリーグ第28節、川崎対横浜戦。

 この日、個人的に最も楽しみにしていたのは、北朝鮮代表FWのチョン・テセと、日本代表DFの中澤佑二のマッチアップだ。180cmを越える重量級の2人がゴール前でどんな攻防を見せるのか。まるでヨーロッパのリーグを見ているような迫力を味わえるに違いない、と。

 しかし残念ながら、この日に限っては、両者のぶつかり合いは見所にはなり得なかった。勝負があまりにも一方的だったからだ。

中澤が抜かれた場合にカバーする味方が必要だ。

 前半9分、チョン・テセが中澤を一瞬の体の切れで置き去りにする。前半23分、チョン・テセがぐいっと体を入れながら加速してシュート。後半ロスタイムにはサイドライン際で再びチョン・テセが中澤をかわした。

 9月の欧州遠征のガーナ戦において、中澤はロングボールをFWギャンと奪い合い、いとも簡単にかわされてゴールを決められてしまった。それ以来、1対1の競り合いに迷いが生まれてしまったのだろうか?

 厳しい質問にもかかわらず、中澤は堂々と答えた。

「いや、迷いはありません。チョン・テセにシュートを打たれた場面は、相手を引っ張ることもできたが、イエローカードをもらっても馬鹿らしいと思った。無理やり1対1の勝負に勝っても意味がない。あのときも実際にシュートは入らなかったわけですからね。そもそも相手FWと1対1になる状況にしてしまったことが問題だと思っています」

 おそらくセンターバックの直感として、前半23分の場面は、打たれても入らないと判断したのだろう。シュートは右ポスト内側ぎりぎりのコースに飛んだが、GK榎本が素早い反応を見せて止めた。チョン・テセに完敗したとはいえ、ことさら問題視する必要はないのかもしれない。

 しかしながら、中澤の局面での反応スピードが、チョン・テセより劣っていたことは事実だ。もしW杯に出場し、それ以上の速さとフィジカルを持つFWと対峙したら……。間違いなくカバーする味方が必要だ。

圧倒的にヘディングと競り合いに強い闘莉王だが。

 それから1週間を遡った第27節の浦和対横浜戦。

 この試合では、闘莉王のポジション修正の遅さが目に付いた。その象徴が、前半終了間際の浦和の失点シーンだ。

 ペナルティエリアの奥深くに出たスルーパスを、鈴木啓太が拾って体でブロックするも、これを横浜の2選手が取り囲んでボールを奪い返した。問題は、このときの闘莉王のポジショニングだ。横浜の選手が2人もゴール前で待ち伏せしているというのに、闘莉王はポジションを少しも修正せずにペナルティエリア内の端の方を歩いていたのである。

 あくまでこれは個人的な見解だが、闘莉王は3バック向きのセンターバックだ。Jリーグに限れば圧倒的にヘディングが強く、接触プレーで競り負けることはほとんどない。うしろをカバーするリベロがいたら、これほど頼もしいセンターバックはいない。

 だが、4バックの1人としてはどうだろうか? 守備への切り替えが遅く、4バックのラインディフェンスに関する基本の動きをできないことがある。もしかしたらJリーグでは体で勝ててしまうからポジション修正をさぼっているだけかもしれないが、このままでは近代サッカーのスタイルに合わないセンターバックと判断せざるを得ない。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  日本最高のCBふたりだが、その相性はどうなのか?

(更新日:2009年10月14日)

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筆者プロフィール

木崎伸也

木崎伸也

1975年1月3日、東京都出身。2002年W杯後にオランダへ移住し、'03年からドイツ在住。現地のフットボール熱をNumberほか多くの雑誌・新聞で伝えてきた。'09年2月1日には帰国し、海外での経験を活かした独自の視点で日本のサッカージャーナリズム界に新風を吹き込んでいる。著書に「2010年南アフリカW杯が危ない!」(角川SSC新書)、「サッカーの見方は1日で変えられる」(東洋経済新報社)がある。7月23日には最新刊となる「世界は日本サッカーをどう報じたか」(KKベストセラーズ)を上梓した。


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