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オールスターゲームの
耐えられない軽さ。
~プロ意識はどこへ?~ 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2009/06/19 06:01

オールスターゲームの耐えられない軽さ。~プロ意識はどこへ?~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

三冠王1回のブーマー(阪急)、2回のバース(阪神)、そして3回取っている落合博満(中日)が揃った贅沢なこの風景こそオールスター

「打席で背中をつったことがある」

 中日・落合博満監督の思い出だ。

 1981年のオールスターゲーム。この年、落合はロッテの二塁手として初めて球宴に出場した。パ・リーグのベンチには同じロッテの張本勲をはじめ日本ハム・江夏豊、阪急・山田久志に福本豊など名選手が顔を揃えていた。その中で初打席に立ったときに、異変に襲われたのだという。

「スイングしたら背中をつったんだよ。緊張して体が硬くなっていたんだな。オールスターっていうのは、昔はそれぐらい価値があったし、メンバーに選ばれることが大変なことだった。でも、今はなあ……どれぐらいの価値がある?」

 オールスターゲームがピンチだという。今年は7月24日に札幌ドームで、翌25日には広島のマツダスタジアムで合わせて2試合が行なわれる。しかし、昔は引く手あまただったテレビの中継権がなかなか売れず、特に札幌の第1戦は放映権料を大幅にダンピングして、何とか地上波での放送を“確保”したという話が流れるほどだ。

 そんな球宴に、落合監督が言うように「どれぐらいの価値がある」のだろうか?

オールスターの値打ちを下げたのは誰だ!?

 実はオールスターゲームの価値を決めるのは、選手たち自身ではないか、と思われてならないのだ。

「シーズン中ではオールスターゲームのベンチの中だけは特別だった。いつもの敵が味方になる。他チームの超一流選手から普段は聞けない話が聞けた。翌日になれば目も合わせてくれないような怖い人でも、いつもは想像できない優しい顔で話をしてくれた。若い頃はそれがオールスターの楽しみだったんよ」

 こう振り返ったのはミスター赤ヘルとして球宴出場14回を誇る山本浩二元広島監督だった。こうして昔の選手は球宴出場を楽しみにして、そこに出られる栄誉を欲した。落合監督が背中をつるほど緊張したのも、球宴には同じような価値がまだ残っていた時代だったのだろう。

「たいしたお金にもならないし、その間休みたいですよ」

 最近は選手の口からこんなセリフを聞くことが多い。携帯電話やメールが発達、国際大会も増えてチーム間の選手の交流が容易になった。オールスターでなくても他チームの選手と会話ができることも、そんな風潮に拍車をかけているのかもしれない。

 しかし、選手が出たいと思わない、真剣に取り組む姿勢が見えないゲームを、ファンがどれだけ見たいと思うだろうか? テレビ局だって1億円を超える放映権料を、そんなゲームに支払うのか? 球宴の価値がこうして下がってきた背景には、実は選手たちの姿勢にも責任の一端があったはずだ。

意欲的な選手が集まれば球宴人気は復活する。

 昨年、高卒2年目ながらファン投票で出場した巨人・坂本勇人内野手は、オールスターの間、同じショートで守備の名手のヤクルト・宮本慎也内野手を徹底マークしたという。最後は直接、遊撃手としての守備のコツやグラブさばきを伝授してもらった。

「宮本さんに直接、色々なことを教わったり、去年はムチャ緊張したけど凄く勉強になった。今年も絶対に出場したい」

 今年も中間発表のファン投票1位となった坂本は出場に意欲をみせる。

 本人のやる気さえあれば、まだまだ選手にとって球宴は価値が高くもなる。その姿が伝わればファンも、このイベントをもう一度、見直してくれるのではないだろうか。

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