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欧州の中堅国とのアウェー戦を!
日本代表を混乱させる時差ボケ問題。 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byTamon Matsuzono

posted2009/10/19 11:30

欧州の中堅国とのアウェー戦を!日本代表を混乱させる時差ボケ問題。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

バルセロナと日本の時差は約8時間。直行便の飛行機での移動時間は約12時間。昼頃に成田に着くと、スペイン時間だとまだ暗いうちの早朝ということになる。中村俊輔や欧州組にしてみると、これは……ツライ

 自慢するわけではないけれど、僕はこれまで、世界のあちこちを旅してきた。地球上の縦移動、横移動を繰り返してきた。そうしたなかでつかんだ実体験をもとに言わせてもらえば、縦移動は横移動に比べてきつい。赤道をまたいだりすれば、季節が変わる。夏から冬。冬から夏。この激変は身体にこたえる。

 横移動にはそれがない。この時期、日本も欧州もアメリカも季節は秋。冬に近い秋もあれば、夏の面影をいまだ残す秋もあるが、秋は秋だ。しかし、横移動には時差がある。時差ボケが付きまとう。

 ただ、ひと口に時差ボケと言っても、重い場合もあれば、軽い場合もある。たとえば、日本から欧州を訪れた場合はそうでもない。2日もあれば、現地時間にほぼ慣れる。アメリカから日本に帰国した場合もしかり。地球の自転に逆らうように、地球上を西方向へ移動する場合は、そう苦にならない。

 しかし、その逆はつらい。欧州から日本に帰国した場合だ。日本からアメリカへ出かけた場合もそうなのだけれど、僕の感覚では、時差ボケ解消に3、4日は平気でかかる。年齢を重ねるほどに激しさを増す。

 もちろん、これは僕だけの感覚ではない。僕と似たような調子で旅をしているまわりの人も、たいてい同意見だ。

アフリカから来るチームにとって日本は最悪の遠征先。

 サッカー選手も大変だなと思う。先日、宮城で日本代表と戦ったトーゴの選手は、試合前日の来日だった。正確には20時間前だそうだ。0-5で大敗した原因は、A代表経験のある選手が6人しかいないメンバー構成のひどさだけではない。横移動に加え縦移動も加わるトーゴにとって、日本は試合をするために最も行きたくない国と言ってもいいだろう。

 それは、日本を訪れるチームのほとんどに当てはまることだ。アフリカ諸国、欧州諸国、中東諸国の選手たちは、時差ボケと格闘しながら、日本での試合に臨むことになる。

 すると、日本の地理的な好条件が浮き彫りになる。アメリカ大陸に出向かない限り、時差ボケの心配はさほどない。岡田サンはトーゴ戦後の記者会見で「“弾丸ツアー”でもいいから、アウェーで試合がしたい」と語ったが、それでも、トーゴより良い体調で試合に臨めるだろう。

 もっとも、日本代表メンバーのなかにも例外はある。欧州組だ。彼らには、日本で行なうホーム戦がきつく感じられるはずだ。試合の3日前に帰国してもつらいだろう。そこでもし、岡田サンから「コンディションが良くなさそうだから」という理由で使われなかったりしたら、怒りは頂点に達するはず。欧州組は呼んだら使え。使わないなら呼ぶな。これが原則だと思うし、少々の不出来は大目に見てやる必要もある。というわけで、稲本、松井には、同情することたびたびである。

欧州組、国内組にとっても利点の多い欧州アウェー戦。

 そうした観点に立つと、欧州でのアウェー戦がもっとも相応しいものに見える。欧州組にとっては地元。国内組も、現地の時差はさほど苦にならない。まともな親善試合を行なおうと思ったら、欧州の国々とより太いパイプを築くべきである。一流国がダメなら、二流国、三流国でも構わない。トーゴ、その前に主力メンバーを大量に外して来日したスコットランドより、三流国の地元でやったほうが、よっぽどためになる。

 ホームで弱者をコテンパンにやっつける日本代表は、もうこれ以上見たくない。オランダ戦のように、負けても良いからまともな試合を見たい! と思っている人は、僕だけではないはずだ。

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