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広島投手陣を立て直した
大野コーチの「覚悟」。
~人格者からの“変貌”~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/05/27 06:00

広島投手陣を立て直した大野コーチの「覚悟」。~人格者からの“変貌”~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

大野コーチの指導を受ける福井。交流戦まで2勝、防御率2.19と、期待に応える働きぶり

 鯉の季節が終わっても、広島が上位に踏みとどまっている。その要因は、何とか投手陣を整備できたことだ。

 今シーズン、大竹寛が故障で出遅れるなど、前田健太以外に、計算できる投手がいなかった。開幕カードの阪神戦に前田・篠田純平で連敗。バリントンで3連敗となれば、ズルズルといつものパターンに陥る気配だった。ところがそのバリントンで勝ち、巨人との初戦に引き分け。続いて今村猛・福井優也のドラフト1位コンビに勝ち星がついたことでチームが波に乗り、前田・篠田・バリントンと日米のドラフト1位トリオが勝ち続けての5連勝。その貯金を何とか守り続けているのが現状だ。

 投手陣を立て直した大野豊投手コーチは「春のキャンプで投げ込みが出来る下半身作り」を課題に、秋季キャンプから徹底した投げ込みをさせた。「強い投球は下半身から」と、ブラウン前監督流のメジャー式調整を禁止し、投手陣の底上げをはかったのだ。昨年リーグワーストだった与四球(460)を減少させるためには、投げ込んでコントロールをつけるしかないと判断したのである。

「悪」に徹することができない大野コーチが出した結論とは?

 同時に徹底して行なったのが、抑えのシュルツ、サファテに繋げる、上野弘文、岩見優輝ら中継ぎ陣のスタミナ強化だった。その成果もあって、彼らはしっかりと機能。新人ながら2勝を上げた福井も「7回をメドに思い切っていけるから、力配分など考える必要がないんです」と語り、大野コーチも「序盤でゲームを壊す展開がなくなった」と話していた。

 大野コーチは「彼の悪口を言う人はいない」といわれるほど、人格者で通っている。一方で北京五輪で日本代表コーチを務めて以来「人が良すぎて、『悪』に徹することができない」という指摘も受けてきた。だが、昨年の投壊ぶりを見て悩んだ末、指導方針に結論を出した。「選手に嫌われても徹底してしごこう」。そうした覚悟で今季に臨んだのである。

 現在の広島の土台作りをしたと言われる根本陸夫は「ドラフト1位の選手は何かいいものを持っている。キッカケを作ってあげればいい」とドライチを好んでトレードで獲得していた。ドライチを使い続ける方針の大野は、自チームの中で“キッカケ”を作ろうと日々、思考し続けている。

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