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楽天を苦しめるプロ野球界の閉鎖性。 

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海老沢泰久

海老沢泰久Yasuhisa Ebisawa

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photograph byHideki Sugiyama

posted2004/11/18 00:00

楽天を苦しめるプロ野球界の閉鎖性。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

 新球団の東北楽天ゴールデンイーグルスが誕生し、合併球団のオリックス・バッファローズとの選手分配が終わって、11月11日には本拠地となる仙台で結団式おこなわれたようだが、はやくも田尾監督は内野手が足りないと嘆いているらしい。

 その気持ちはよく分かる。外野手は磯部公一、川口憲史、鷹野史寿といったところを獲得して何とか格好がつきそうだが、内野手は吉岡雄二と大島公一と斉藤秀光ぐらいしかいないからである。40人を獲得したといっても、あとは即戦力になるような選手はほとんどいない。

 どうしてそういうことになったかは、いうまでもない。合併球団の新バッファローズが最初に25人の有力選手をプロテクトしてしまったからである。

 その数が多いか少ないかは見方によるだろうが、楽天の参入が決まる以前、合併球団にあふれる選手を他の11球団で引き取ると申し合わせていたときには、各球団とも25人のプロテクトは多すぎるといっていた。つまり、使いものにならない選手ばかりを引き取るのはいやだから、プロテクト選手の数を少なくして、使いものになる選手をよこせといっていたのである。

 しかし、楽天の参入が決まり、自分たちであふれる選手を引き取る必要がなくなると、誰もプロテクト選手の数については何もいわなくなってしまったのだった。また、楽天はエクスパンションドラフトの実施も求めているが、それに耳を貸す気配もない。エクスパンションドラフトというのは、大リーグが新規参入の球団を認めるときに、その球団にある程度の戦力を与えるために、既存球団がプロテクトした以外の選手をドラフトさせる救済策である。ドラフトの指名順位も、本来ならパ・リーグの1番目にすべきなのに、優勝したライオンズのあとだった。これで既存の11球団は楽天を仲間としてあたたかく迎えるといえるのだろうか。

  「日本の球団は自分の得になることばかり考えていて、損になることはいっさいしないんですよ」

 と知り合いの新聞記者がいっていたが、まったくそのとおりだと思う。

 一方で、明治大学のピッチャーに与えてはならない裏金を与えていたジャイアンツとタイガーズとベイスターズは、オーナーが辞任してそのピッチャーの獲得合戦からは撤退したものの、他の選手を堂々と自由枠で獲得して、ドラフト会議でも必要なだけ新人選手を確保した。

 ぼくなら、恥ずかしくて自由枠を使うことはおろか、ドラフト会議にも出て行けなかったと思うが、彼らはそのようには考えず、他の球団もその3球団に今年ぐらいは自由枠を使うのを遠慮したらどうかといわなかった。その結果、3球団は裏金を与えていたことが露見したにもかかわらず、実質的な損はまったくなかったのである。

 楽天が優先的な権利を何ひとつ与えられなかったのと非常に対照的だった。楽天のこれからさきの苦労が目に見えるようで、いまから胸が痛む。

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