SCORE CARDBACK NUMBER

「代表」より、「経験」。若手の渡欧に希望をみた。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byKazuhito Yamada/KAZ Photography

posted2008/02/14 00:00

「代表」より、「経験」。若手の渡欧に希望をみた。<Number Web> photograph by Kazuhito Yamada/KAZ Photography

 なぜ日本代表は試合を読む力がないのか。ずっとそんなことを考えていたら、前ブラジル代表監督のパレイラ(現南アフリカ代表監督)がこんなヒントを教えてくれた。

 「国内だけでやっていると、他のサッカー文化に触れる機会がないからね。だから、欧州の強豪とやるとパニックに陥るんだ。その一方で、普段から欧州のリーグでやっている選手は、いろんな状況を経験して対応力が身についている。それは南アフリカでも同じ問題だよ」

 だとすれば、この冬、多くの日本人選手が欧州にやって来たことは、この問題を乗り越えるうえで大きくプラスになってくれるだろう。本田圭佑がフェンロのテストに合格し、続いて水野晃樹がセルティックに、長谷部誠がボルフスブルクに入団した。また、菊地直哉がドイツ2部のイエナのテストに合格した。

 1月下旬、このうち3人の試合を立て続けに観ることができた。

 イエナ対ボルフスブルクでは、菊地対長谷部の日本人対決が実現した。この試合で誰よりも輝いたのは菊地だった。ボランチを任され、ドイツU21代表のデジャガからスライディングでボールを奪取。高い身体能力はドイツでも十分に通じ、交代時にスタンディング・オベーションが起こったほどだ。2部の残留争いでもまれれば、大化けするかもしれない。

 一方の長谷部は合宿に参加できなかったために出遅れている。今は焦らずに体調を整えることに専念すべきだろう。

 オランダリーグのフェンロ対ヘラクレスでは、本田の負けん気の強さを見た。新人だというのに不甲斐ないチームメイトを叱咤し、ドリブルでもFKでも何かを起こしてやろうという意志があり、チームのリーダーになってくれるのではないか、というエネルギーを感じさせてくれた。正直、フェンロの戦力はJ1の下位チーム並みだが、だからこそ本田がチームを自分の色に染めることができるかもしれない。

 昨年8月に筆者はこのコーナーで「選手に野心がない」と書いたが、それは間違いだった。彼らは目先の代表に入ることよりも、自らの力を伸ばすことを優先して欧州にやってきた。この若者たちがこの先「W杯でも慌てない選手」へと成長していくことを期待したい。

関連キーワード
VVVフェンロ

ページトップ