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ムエタイ技術が分けた
ストライクフォースの明暗。
~青木、川尻、高谷の戦い~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2011/05/08 08:00

ムエタイ技術が分けたストライクフォースの明暗。~青木、川尻、高谷の戦い~<Number Web> photograph by Susumu Nagao

1児の父となった青木は、自身のブログにも「息子に明るい未来を」と綴り、試合に臨んだ

 青木真也、川尻達也、高谷裕之が揃ってアメリカに渡り、4月9日(現地時間)、カリフォルニア州で行なわれたストライクフォースに出場した。

 今春、ストライクフォースはUFCに買収されたばかり。そのため計量会場からUFCのスタッフが加わるなど、その周囲には今までとは違う空気が漂っていた。さらにアメリカでも東日本大震災は大きく報道されているとあって、いつも発生する日本人選手に対してのブーイングも皆無だった。

 だが、結果は1勝2敗。ギルバート・メレンデスが持つライト級王座に挑戦した川尻は1RTKO負けを喫した。日本人離れしたフィジカルの強さを誇る川尻を圧倒したのは、達人の域に達した感のあるメレンデスの打撃スキル。右フックをたたき込むや、首相撲からのヒザ蹴りでさらにダメージを与える。とどめを刺したのは、思わず目を背けたくなるほど過激なグラウンドでのヒジ打ちだった。

実力者ライル・ビアボームをチョークスリーパーで破った青木真也。

 UFC傘下になったことで、ストライクフォースは前大会からヒジ打ちを解禁している。ヒジ打ちとヒザ蹴りなどのムエタイ技術は、アメリカのMMAシーンで幅を利かせている。ムエタイ技術のひとつであるローキックに泣いたのは高谷。その打ち合いで劣勢となるや、1R終了間際、ロバート・ベラルタのパンチで大きくバランスを崩してしまったのだ。2R以降、テイクダウンを奪うなど攻勢に出た高谷だったが、序盤の印象点が響いて1-2の判定負けを喫してしまった。

 そうした中、唯一ムエタイ技術を味方につけたのは青木。試合開始早々、左ミドルキックをライル・ビアボームにヒットさせる。この一発で青木は相手との距離を掴んだ。その後ケージに押し込まれても慌てず騒がず。逆にテイクダウンに成功するや、背後から絡みつきチョークスリーパーでタップを奪った。過去にビアボームは、日本でも実績のあるビトー・シャオリン・ヒベイロやドゥウエイン・ラドウィックに勝っている実力者だ。それだけに、この勝利には価値がある。

 試合後、青木は“FIGHT FOR JAPAN”と記されたフラッグを持ってケージの中を駆け回った。自分らしい勝利こそ、被災地に向けての最善のメッセージ。長男を授かったばかりの青木はそう考えている。

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