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U-19選手権で見えた
大人たちの綱引き。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byShinji Akagi

posted2008/11/20 00:38

U-19選手権で見えた大人たちの綱引き。<Number Web> photograph by Shinji Akagi

 現在、アジアU―19選手権を取材するため、サウジアラビアのダンマンに来ている。これを書いている時点で、すでに1次リーグ突破を決めている日本は、準々決勝に勝てば、U―20ワールドカップ出場が決まることになる。

 ところが、その肝心な準々決勝を前に、チームの中心として期待される香川真司が帰国の途に就くのだから、驚いてしまう。11月中旬からのA代表の活動に備えるためだというのだ。

 もはやA代表に選ばれている選手が、今さらU―19代表でプレーする必要はない、という考え方はあるだろう。しかし、A代表で完全に中心選手となっているならともかく、試合に出るかどうか分からない程度で、そちらを優先することが本当に選手のためだろうか。

 「アジアを勝ち抜いて、U―20ワールドカップに出られることは自分にとっても大きい。もっと世界のチームと戦いたいし、試合に出て自分の力を試したい」

 それは香川の正直な気持ちである。

 たかが年齢別の大会、と思われるかもしれない。だが、今大会の1次リーグで対戦したイランなどは、Jリーグではとても体感できない、スピードとパワーにあふれていた。発熱の影響で体調が万全でなかったとはいえ、香川でさえも何もさせてもらえなかったのである。少なくとも、彼にとって意味のない大会ではありえない。今後、相手が世界となれば、なおのことである。

 いかに選手を成長させるか。言うまでもなく、どちらの代表を優先するかは、その一点において判断されるべきだ。

 同じことは代表とクラブの間でも起こりうる。今回、金崎夢生はアジアU―19選手権に出場せず、ナビスコカップ決勝のピッチに立った。大観衆の前でタイトルマッチを戦うことは貴重な経験。その決定を否定はしない。単に今大会とナビスコ決勝を天秤にかけたのではなく、将来的なこともすべて踏まえて判断されたものならば、だ。自分が出ないまま世界大会出場を逃したとして、それが金崎の成長にとって、どれほどの痛手であるかまで考えられていただろうか。

 代表間、あるいは代表とクラブの間において、せっかくの若い才能が、大人のエゴで綱引きの綱にされてはいないか。それをもう一度確認してほしい。

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