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W杯観戦では発炎筒を侮ってはいけない! 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2005/04/14 00:00

 W杯がらみのちょっと怖い話をお伝えしよう。

“ベンガル式”というタイプの発炎筒を、ご存知だろうか? 車に積んである普通の発炎筒とは違う。導火線がついた円柱状のシロモノで、最近ドイツでは、この発炎筒が大問題になっているのだ。ベンガル式は一度着火すると消すことはできず、炎は2000℃を超える。これは鉄さえも溶かす温度だ。ドイツのスタジアムでは、ファンの投げた燃え盛る発炎筒が胸に直撃して、肺の一部が溶けてしまった被害者も出ている。ドイツサッカー協会の警備責任者のゼングレ氏は「毎週、ケガ人が病院に運び込まれてくる」と頭を抱えているほどだ。

 いったいベンガル式はどこで買えるのか? ドイツで最もフーリガンが多い街ドレスデンで、道端でたむろしていたスキンヘッド集団に冷や汗をかきながら訊いてみた。同類だと思ったのか、彼らは予想以上に親切だったが……。

「郊外の店で1本10ユーロ(約1400円)で買える。オレもしょっちゅう買ってる。気をつけて楽しんでくれよ(笑)」

 現在ドイツではフーリガンが増加中だ。失業率は過去最高になり、特に旧東ドイツ地区では、両親が失業中で自分も職がないという16〜18歳の若者が増えている。東西統一から14年が経ち、新たな社会問題が起こっているのだ。彼らが不満を持つのも仕方がないかもしれない。今年2月の2部の試合では、5人の若者が客席に向かってこの発炎筒を投げ込んだ事件が起こった。3月のスロベニア対ドイツ戦では、200人のドイツ人が暴れ、ベンガル式がピッチに投げこまれた。扱いに慣れない消防士が対応に追われ、試合が中断された。

 コンフェデ杯とW杯をひかえ、ドイツのフーリガン対策本部(ZIS)は、「危険人物のリストは作成済み」と警備に自信を見せているが、フーリガン予備軍の若者は多く、「ネオナチとフーリガンの境界も薄れつつある」とドレスデンの警察官はもらしていた。

 きっと99%のサポーターは問題ない。でも、一部の人間が殺傷能力のある凶器を手にしていることは確かだ。だから観戦のときに、これだけは忘れてはいけない。

 ベンガルの火に気をつけろ。

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