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サッカーが好きなのか。日の丸が見たいのか。 

text by

芦部聡

芦部聡Satoshi Ashibe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2005/04/28 00:00

サッカーが好きなのか。日の丸が見たいのか。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 巨人の開幕戦の視聴率は、開幕戦としては史上最低の13.5%だった。清原が本塁打を打って、延長12回までもつれこんだ4月5日でも12.4%だったし、7日は8.8%にまで落ち込んだ。開幕からわずか6試合で二ケタを割ったのは、もちろん史上最速。今年から実数発表となった観客動員も1万2578人にとどまった。

 落日の巨人とは対照的に絶好調なのがサッカーだ。これまでに3試合行われたW杯アジア地区最終予選の平均視聴率は、北朝鮮戦47.2%、イラン戦37.9%、バーレーン戦40.5%(ビデオリサーチ調べ・関東地区・以下同)。昨年の紅白歌合戦(第2部)が39.3%だったことを考えると、オウンゴールで辛勝しても「日本快勝!」と大はしゃぎしたテレビ朝日の心情は理解できなくもない。だが、この数字をもってサッカー人気の証明とするのは早計だ。高視聴率をマークするのは日本代表戦だけなのである。

 日本一を決める天皇杯決勝戦は、日本サッカー界における最高峰の戦いのひとつだが、今年の東京V対磐田戦の視聴率は6.9%にすぎなかった。一方、昨年10月に中継されたAFCアジアユース選手権の日本対韓国戦は7.9%。日本一よりもU―19準決勝の行方のほうが世間的注目度は高かったわけだ。日韓戦の伝統、筑波大学の平山の話題性といったプラス要因はあったにせよ、日本代表のバリューはかくも絶大ということである。

 日本代表がもてはやされるのは、なにも男子サッカーだけではない。テレビ関係者に衝撃を与えたのが、昨年4月、女子サッカーの日本対北朝鮮戦が、裏番組の巨人対阪神戦を5ポイント上回る16.3%を記録した“事件”だ。アテネ五輪予選では女子バレーボールが連日20%越えの驚異的視聴率を記録したし、五輪の余韻が残る昨年10月には女子レスリングのワールドカップがゴールデンタイムで放映された。「日本代表戦は数字が稼げる」というのが定説になっている。

 視聴者は日の丸を背負った選手を見たがっている。君が代を歌い、国家の名誉と威信をかけた戦いに熱狂する。だから、マイナーな競技でも、オリンピックの時だけは国民的スポーツになる。メダルをとればスター誕生。熱狂はすぐに冷める。そういや、山本博先生、元気かなあ。

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