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ユーロ2008の共催は果たして成功だったか。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byShinji Akagi

posted2008/07/10 00:00

ユーロ2008の共催は果たして成功だったか。<Number Web> photograph by Shinji Akagi

 前回のポルトガル大会が“海のユーロ”だとしたら、今大会は“山のユーロ”だ。アルプスの峻峰に残る雪を見ながらドライブしているとき、ふとそう思った。移動は楽ではないが、苦労して足を運ぶだけの風景がスイスとオーストリアには広がっていた。

 開催都市のなかで最も盛り上がったのは、オランダの3試合が行なわれたベルンだ。街はオレンジ一色になり、いかにもユーロというお祭り騒ぎに。オランダ政府は温かく迎えてくれた街に感謝して、「ダンケ、ベルン」という広告を地元紙に載せたほどだ。

 チューリッヒでは座席指定のパブリックビューイングが登場した。座席料が約2500円もするのに、ドイツ対ポーランド戦では完売。湖を横目に大画面で試合を観戦するのも、なかなか味わい深い経験だった。

 しかし、オーストリア側に目を向けると、大会が成功したとは言い切れなくなる。巨大スクリーンが設置され出店が立ち並ぶファンゾーンは、地元で試合がある日以外は開店休業状態。クラーゲンフルトでは、ある試合においては88人しか来客がなく、いつしか“ゴーストタウン”と呼ばれるようになってしまった。

 ウィーンのファンゾーンも悲惨だった。グループリーグでは期待していた来場者数の約10%しか来ず、高い権利料を払って出店したオーナーのなかには「UEFAを訴える」と激怒する人も。試合の開催日はファンで埋め尽くされたが、それ以外の日はぱたりと客足が止まった。

 この最大の原因は、UEFAの“拝金主義”にある。今大会ではドイツW杯での成功を見習って各都市にファンゾーンを導入した。しかし、ドイツと決定的に違ったのは、それを商売にしたことだ。ファンゾーンの中の出店はライセンス制とし、ビールをスタジアムと同じ4.5ユーロに設定。これは通常のバーの約2倍の値段だ。多くのファンが、街中のバーに留まってTV観戦することを選んだ。スイスでは割高でもファンゾーンに人が集まったが、サッカー熱の低いオーストリアでは通用しなかった。

 もともとファンゾーンは、足を運んでくれたファンをもてなすための場所。金を儲ける場ではない。UEFAはそのことを肝に銘じておくべきだろう。

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