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高橋大輔は、NHK杯で
真の復活を遂げられるか。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byEASTPRESS/AFLO

posted2009/10/30 06:00

高橋大輔は、NHK杯で真の復活を遂げられるか。<Number Web> photograph by EASTPRESS/AFLO

復帰戦のフィンランディア杯で優勝した高橋。転倒する場面もあったが高得点を叩き出した

 各国を転戦して総合チャンピオンを争うフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズが始まった。初戦の男子は、織田信成がフリーで逆転し優勝、上々の滑り出しとなった。その織田の活躍を横目に、日本で開催される第4戦、NHK杯(11月6日開幕)へ向けての抱負をこう語った選手がいる。

「滑ることができるという喜びを感じることが大事です。それが周りにも伝わると思います」

 高橋大輔である。GP出場は約2年ぶりのことになる。

世界一を目前にした高橋を襲ったアクシデント。

 2006年のトリノ五輪で8位だった高橋は、その後、得意とするスケーティングやステップに加え、ジャンプなどでも着実に力をつけると、'07年の世界選手権では日本男子最高の銀メダルを獲得。'06、'07年のGPファイナルでも2年連続2位となった。世界のトップスケーターの一人となり、世界一をうかがう位置にたどり着いていた。

 ところが昨年10月、アクシデントが襲う。練習中、右膝の前十字靭帯断裂と内側半月板損傷を負ったのである。手術を経てリハビリに励んできたが、8時間におよぶ日もあり、耐え切れず悲鳴をあげることもあるほどハードなものだった。

 氷上に立てるようになった今年4月に練習を再開。10月上旬、フィンランドのフィンランディア杯で実戦に復帰すると、スタミナ面に課題は見せたが優勝し、迎えるのがNHK杯である。

「怪我をしたことで、すべてがプラスになった」

 怪我によるブランクは決して小さくないし、2年ぶりの国際舞台に、不安もないわけではない。だが、マイナス面ばかりではない。実はこんな話がある。リハビリの過程で、高橋は故障にもつながった硬い股関節と足首を柔軟にして可動域を広げるトレーニングに取り組んできた。その結果、力の伝わり方が変わり、スケーティングの質の向上につながったのだ。

 それもあってか、高橋自身も前向きに捉えようとしている。

「怪我をしたことで、すべてがプラスになったといってもいいくらいです」

 あとはその言葉を、実戦で証明してみせるだけだ。

 復活をかけた戦いの先には、不完全燃焼に終わったトリノ五輪の雪辱の場であり、「金メダルを目指したい」と目標を掲げるバンクーバー五輪が待っている。

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