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JRA、夏の改革は、秋の実りをもたらすか? 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byShigeyuki Nakao

posted2006/07/24 00:00

JRA、夏の改革は、秋の実りをもたらすか?<Number Web> photograph by Shigeyuki Nakao

 JRAの開催日程は、毎年末に翌年の重賞レースの予定とともに1年分が一括して発表される。内部にはエキスパート集団が存在しているらしく、手を替え品を替え、様々な形で薬味を効かせて新味を出してくるのには感心させられる。今年の目玉企画のひとつは、夏の重賞を2000mと1200m(1レースのみ1000m)の二本立てのシリーズとしたこと。題して「サマー2000」と「サマースプリント」。それぞれ、5つのローカル競馬場を舞台にポイント制のステージを戦い、総合獲得ポイントトップの馬にはそれぞれ5000万円の特別報酬。ファンの興味を引きつつ、トップクラスの馬の夏休み指向に歯止めをかけようという狙いである。成功を祈りたい。

 それとは別に、この夏から勝ち賞金の加算方法の変更も大胆に行なわれている。基本的に勝ったら昇級、という形を徹底し、従来あった「勝ち得」(1着でも昇級せずに済むケース)を排除してしまったのだ。その結果、どうなるかはすぐに想像がつく。未勝利から500万クラスへ上がる馬の数は変わらないが、1000万クラスの馬が増えるのは当然で、さらに1600万クラスの馬も同様に増殖する。見かけ上は、強い馬の層が厚くなるわけだ。

 しかし、厩舎関係者からは不満の声が多く聞こえてきている。そういう大きな改変を行なったにも拘らず、1000万下、1600万下のレース数を増やした形跡が見えないからだ。昇級だけさせておいて、次にレースを使おうと思ったら適鞍がない。あるいは除外の心配ばかりしなければいけないのでは困るという言い分。その通りだと思う。

 「競馬番組」は、くだんのJRAのエキスパート集団が吟味を重ねた結果として、春季、夏季、秋季と、年3回のペースで発表される。競馬場別、条件別、距離別で、どれぐらいの頭数が集まるかなど、膨大な統計資料がまとめられており、それに見合った精密なものが「作品」として出ていると信じたいが、夏季に関しては新制度とうまくかみ合っていないのではないかと評価せざるを得ない。

 勝ち得システムをなくしたことにどんな効果があるのか、それがハッキリと見えてくるような、より洗練された秋季の番組が発表されることを期待している。

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