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秋山新監督がねらう、したたかなチーム改革。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2008/11/20 00:00

 12年ぶりのパ・リーグ最下位、ベテラン選手から若手選手への世代交代、14年続いた王政権の終焉。前途多難の船出にもかかわらず、福岡ソフトバンクホークスの秋山幸二新監督は泰然自若の構えを崩さない。ゆったりとした大きな流れの中で球団を変えようとしている。

 秋山幸二といえば思い出されるのは、西武ライオンズ黄金期を支えた選手時代である。3割30本塁打30盗塁を経験。さらには2千本安打を達成して名球会入り。常勝ライオンズを支えた打ってよし、守ってよしの強打者は、最もメジャーに近い男と言われたものだった。

 ところが堅物で知られたライオンズの森祇晶監督(当時)は、ホームラン後に見せるバック転のパフォーマンスを快く思っていなかったようだ。寡黙な男の唯一の自己アピールが、'94年、ダイエーへのトレードの契機と言われたこともある。

 移籍先の福岡ドームには西武球場とは異なる高いフェンスがあり、ホームランを放つためには放物線状の打球を打つ必要がある。そのために打法を変えバットの握りに変化をつける工夫をした。しかしこれが原因となり腰を痛め引退を早めたが、本来ならば50歳近くまで現役を続けられたはずだ。46歳の今でも140キロ台のストレートを投げられる上に、ロングティーをやれば、長距離砲の松田宣浩や江川智晃よりも遠くに飛ばす力を持っている。

 「まだまだ体も動くし、上から目線で見るよりも一緒になって体を動かす兄貴分のような存在でいたい」と新人監督らしいことを言う一方で、ベテラン選手に対して危機感を持たせるために放出をチラつかせるなど、王野球には見られなかったしたたかな一面も持ち合わせている。

 情で人を動かした王監督とは異なり、プレーを見て公平に判断する秋山新監督の采配。ベテラン勢がどれだけ反応できるかが成功の鍵になってきそうだ。

 「強打者を揃えれば勝てた時代とは違い、野球が進化を見せている現代では過去と同じことをやっていても勝てない。緻密な野球を展開するための練習を、他球団に探られないようにやっていきたい」

 秋季キャンプで秋山新監督が打ち出した方針に、8度のパ・リーグ制覇を数える名将・森祇晶の冷徹さの影をわずかに見たような気がした。

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