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夏の甲子園を目指し、
まず沖縄が走り出した。
~運天、大嶺ら注目の高校球児~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2009/07/09 06:00

夏の甲子園を目指し、まず沖縄が走り出した。~運天、大嶺ら注目の高校球児~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 甲子園出場を懸けた沖縄大会が6月20日、南北海道大会とともに全国のトップを切って開幕した。初日は穏やかに始まるのが普通だが、沖縄では“ダルビッシュ2世”の異名を取る運天ジョン・クレイトン(浦添工)が八重山農林相手に自己最速を2km上回る147kmを記録し、話題をさらった。

 この快速球をもたらしたのがアメリカ軍人の父の血なら、キレのいいスライダーをもたらしたのは日本人の母の血である。昨年まではぎくしゃくした投球フォームがストレートから伸びを奪っていたが、八重山農林戦を見たスカウトが「柔らかさ、しなやかさなら今村猛(清峰・センバツ優勝投手)以上」と言うように、大きく成長。アメリカ人の力強さに日本人のきめ細かさが加わり、無視できない存在になってきた。

沖縄はプロのスカウトをうならせる逸材の宝庫だ。

 運天以外にもロッテ・大嶺祐太の弟、大嶺翔太(八重山商工)は投手としても野手としても将来性が高く評価される大物で、興南の2年生、島袋洋奨は選抜大会1回戦で19奪三振を記録した快速球左腕として広く知られている。まさに沖縄は、屈指の逸材がひしめく黄金郷だが、沖縄の価値はそれだけにとどまらない。

 今季、大学の試合を数試合見ていて、各校の1番打者に沖縄尚学出身の選手が多いのに気づいた。伊志嶺翔大(東海大)、比屋根渉(城西大)、兼屋辰吾(筑波大)、西銘生悟(中央大)などである。プロのスカウトをうならせるパフォーマンスとともに、チャンスメーカーの素質に富んでいるのも沖縄球児に見られる大きな特徴なのである。

沖縄野球の個性を形作る「野球部対抗競技大会」とは。

 沖縄では全国でも珍しい「野球部対抗競技大会」なる競技会が毎年1月に行なわれる。争われるのは塁間走、塁間継投(ボール回し)、遠投、100m走など8種目で、ここで優勝する学校が甲子園に出場するというジンクスさえある(過去10年間で、競技会優勝校が春、夏いずれかの甲子園大会に出場した例は6つ)。

 競技会には個人表彰もあるので、チームプレーであるはずの走塁(塁間走)でさえ、個人技の色彩を強めていく。それが決まりごとにとらわれない沖縄人気質に合い、走力に突出した1番打者を多く輩出する原因になっているのかもしれない。夏はまだ序の口、これから戦いはますますヒートアップしていく。

■関連コラム► 運天・ジョン・クレイトン、“沖縄のダルビッシュ”が秘す反骨心。 (2009年7月2日)
► 今年の選抜を象徴したエースたちの決勝戦。~新たな投手黄金時代到来!~ (2009年4月29日)

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