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遊撃手第3世代はただいま伸び盛り。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2004/08/26 00:00

遊撃手第3世代はただいま伸び盛り。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 野球を始めた子供の頃はカル・リプケン、高校と大学ではデレク・ジーター。僕はこの2人に憧れて遊撃手になったんだ。デレクのジャンピングスローは本当にかっこいい。よく真似したし、今もやってしまう」

 と、24歳のボビー・クロスビーは一気にしゃべった。その早口が初々しい。メジャー初のフルシーズン。8月10日現在、打率・266、15HR、46打点。パワーある打撃ばかりでなく、躍動感溢れる守備でも非凡なところをみせ、今や新人王の最有力候補である。

 「来年にも3割、30ホーマーを打てる逸材。バットスイングの速さは抜群だし、何よりも頭のいい選手で、アジャストするのに時間がかからない」

 と絶賛するのは昨年までアスレチックス傘下のトリプルAで打撃コーチを務めていたヤンキースのロイ・ホワイト一塁ベースコーチ。昨シーズン、最初の2カ月は2割台に低迷していたが、その後は打ちまくり、終わってみればリーグMVPを獲得。開幕をメジャーで迎えた今シーズンも、4月は1割台にあえぎ、打撃不振が守備面にも悪影響を及ぼし、チームの敗戦に結びつく失策を犯したこともあった。そこから這い上がっての活躍である。

 「豊かな才能はもちろんだが、傑出しているのは精神力の強さと、集中力だ。彼は次世代を代表する遊撃手になる」

 と、断言するのはケン・モッカ監督だ。

 ひと昔前のメジャーの遊撃手といえば守備力優先、俊敏で小柄な選手が相応しいとされていた。ところが身長193cmの大型オールラウンダー、リプケンがトップ選手になって以来、概念が大きく変わった。その新しい遊撃手像に憧れた子供たちが成長を遂げ、やがてメジャーで大活躍をみせる。その“新遊撃手の第2世代”がジーターであり、アレックス・ロドリゲスだ。となると、身長191cmのクロスビーは、第3世代ということになる。

 「デレクの全てをみて吸収してきた。だから、ヤンキース戦は特別な思いがある。これが今年最後のニューヨーク遠征、サインを貰っておこうかな」

 と、テレ笑いを浮かべていった。

 その遠征で、クロスビーは攻守にわたって何度もスタンドのため息を誘うプレーをみせた。憧れはパワーの偉大な源でもあるのだ。

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