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好調オリックスのホープ、坂口智隆のひたむきさ。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2007/04/19 00:00

 柔らかいバットコントロール。ユニフォームの裾を上げ、ストッキングを見せるスタイル。オリックス・バファローズに、どことなくイチローを思い出させる選手がいる。背番号52の外野手、坂口智隆だ。

 下馬評の低かったオリックスだが、ソフトバンク、日本ハムと続いた開幕5試合で3勝。坂口は、その内4試合で1番を任された。平野恵一が故障で戦列を離れたこともあったが、オープン戦で38打数17安打と打ちまくったことでレギュラーの座をつかんだのだ。開幕戦では、初回にいきなりソフトバンクのエース斉藤和巳の高速スライダーをセンターに弾き返して先制点のきっかけを作った。査定担当の宮田典計は、「あいつが1番を打ち、新人の大引(啓次)が8番に定着すれば、チームの形ができてくる」と言った。

 高校時代まではセンバツにも出場した投手だったが、ドラフト1巡で当時の近鉄に入団してから外野手に転向。それから4年間は一軍に定着することができなかったが、昨年オフ、ハワイ・ウインターリーグに参加したことで意識が変わった。マイナーの選手たちが持つハングリーさに触れて、今までの自分の甘さを反省したという。「彼らは、結果を出せばぶ厚いステーキが食べられると本気で信じてましたからね。それを見て、自分がきれいな野球をやりたいと形にばかりこだわっていたことに気がついたんです」

 センター返しに徹し、何が何でも塁に出ることにこだわるようになった。首脳陣の評価が上がってきたのは、それからだった。

 「彼は何ごともポジティブに考える。だからいいんだ」とコリンズ監督は言い、ディーバス打撃コーチも、「熱心さが伝わってくる」と練習好きを褒めている。それでも坂口は、ひたむきな姿勢を崩さない。「毎試合毎試合使ってもらえるかどうか必死にやっているので、余分なことを考えるひまはありません」

 開幕戦を控え、福岡に出かける前に、かつてイチローがひいきにしていた神戸の牛タン屋に行った。そこで主人と「一人前になったら通わせてください」と約束したという。足と肩は一級品。あとはバッティングを磨いて1番に定着できるかどうか。パ・リーグの楽しみが、ひとつ増えた。

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