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昔コギャル、今格闘家。渡邊久江、23歳。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph byYukiyo Matsumoto

posted2004/06/03 00:00

昔コギャル、今格闘家。渡邊久江、23歳。<Number Web> photograph by Yukiyo Matsumoto

 ルックスは典型的なコギャル系ながら、中身はバリバリの体育会系。渡邊久江(AJ)ほど、誤解を受けやすい女子キックボクサーはいない。確かに10代の頃には渋谷や原宿を徘徊したり、プータロー生活を送っていた時期もあった。しかし4年前、偶然女子格闘技の記事を目にして「私でも目立てそう」と格闘技を始めたことが彼女の運命を変えた。祖父は地元栃木で有名な競輪選手だったから、筋は良かったのだろう。いまや女子キックの単独イベント『Girls SHOCK』の看板選手である。

 ここ数年、女子格闘技は総合(柔術を含む)、ボクシング、キックと3つのルールに分かれて発展してきた。しかし選手の絶対数が足りないため、多くの選手はジャンルの壁を飛び越えて行ったり来たり。渡邊もそのひとりでキックを主戦場とする以前には、総合格闘技家や女子ボクサーとしてのキャリアを持つ。最終的にキックを選んだ理由もふるっている。

「だって形(フォーム)がカッコいいし、試合もわかりやすい」

 ミーハーだからといって侮るなかれ。渡邊は実力の方も十分にある。昨年12月、タイに初遠征した際には、現地で人気アイドルとしても活躍中の美少女ムエタイ戦士ナムワーンノーイを撃破。インターナショナル女子ムエタイ・ライトフライ級王座を奪取している。

 去る5月7日には「今後の女子キックのPRになれば」と、TBS系で放送された『女子総合格闘技最強女王決定トーナメント』に参加。総合ルールに9カ月のブランクがあったのに加え、その準備期間も短かったのだが、ぶっちぎりの強さを見せつけて、優勝賞金100万円を獲得した。

 大会前には「寝技に持ち込まれたら、ヤバい」という声もあったが、渡邊は対戦相手が組みによる攻防を求めてもそれを拒否するだけの強いプレッシャーをかけることができた。テイクダウンを許す場面もあったが、たとえ寝技になっても慌てる素振りは皆無。準決勝に至っては腕ひしぎ十字固めで一本勝ちを収めているのだから、その闘い方はまさに立ってよし寝てよし。渡邊ほどスムーズにキックと総合を掛け持ちしている選手も珍しい。

 もっともベースはあくまでキック。8月11日にタイで開催される女子ムエタイのビッグイベントでナムワーンノーイとの再戦に臨む。

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