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F・ニッポンの魅力を、いかに伝えるべきか。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

PROFILE

posted2007/01/25 00:00

 「もったいない」が現在の全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)に対するわたしの個人的感想である。FNは昨年、トヨタ、ホンダのエンジン供給開始により様変わりして非常に見応えのあるレースになった。だがその分、広くファンに受け入れられたかというと残念ながらそうはいかなかった。

 見応えのある素材が人気を呼ばなかった最大の原因はプロモーションの失敗だと考える。この業界には「一所懸命やっていれば、ファンはそれを認めてくれる」というきわめて古くさい思いこみが通用している。確かに、半分は正しいが半分はすでに時代後れだ。

 関心の薄い人々の意識を幅広く引き込むには、素材の価値を積極的に伝え認識させる努力、場合によっては計算ずくの演出を含む新しい工夫が必要になる。それがプロモーションというものだ。FNの場合、その仕事を誰が先頭に立って執り行うべきかと言えば、他でもない運営団体たるその名も日本レースプロモーション(JRP)である。だが、JRPはレースを運営するのに手一杯の模様で、肝心のプロモーションは必ずしも十分には行われていない。

 ただ、JRPだけを責めるのも気の毒だ。モーターレーシング以外のスポーツイベントでも活性化のためのプロモーションはあまりうまく機能しているようには見えない。芸能人を使ったお祭り化や選手の芸能人化などという安易な手法はTV局の企画中心にしつこく繰り返されるけれども、競技本来の魅力の普及に果たしてどれだけ効果のあることか。

 前述したようにプロモーションとは本来、販売促進戦略のことである。戦略なくして戦術は目的を遂げられない。スポーツイベントに関わるプロモーションは、競技の真の魅力を的確に抽出するセンスを基盤としてこそ機能する。その基盤が欠落しているから、小手先の戦術を振り回すばかりでただのお賑やかしに終わり、虚しさが残るだけなのだ。

 FNは人気を集めるに足る魅力を秘めたイベントである。なんとかきちんとした戦略で違う見せ方をして欲しいところだし、そのための協力は惜しまないつもりだ。しかし、まずはFNに関わる多くの方に「もったいない」と再認識してもらうことが先かもしれないが。

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