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楽天・中村紀洋はもう一花咲かせられるか。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byTamon Matsuzono

posted2009/03/26 08:05

「球団がチームの若返りを図る、という理由で自分のポジションを若手に任せた時、やり切れない憤りに襲われるんだよね」とあるベテラン選手がポツリともらしていたことを、思い出した。

 中日ドラゴンズを53年ぶりの日本一に導いた中村紀洋も、そのひとりだろう。今年で36歳になる中村は、落合博満監督の方針で、今季から森野将彦にポジションを奪われることが濃厚と見られていた。

「居場所が無いのなら、自分の力を評価してくれる場所を求めるのがプロではないか」と考えた中村。2年前、育成選手として契約してくれた中日に大きな恩義を感じながらも、移籍を決めたという。

 ドジャース移籍の際、代理人であった団野村を通じて、楽天がフェルナンデス(現・オリックス)に代わる三塁手を探している、という話が入ってきたのは、ちょうど移籍先を考えていたころだった。

「同じ球団に所属し続けた選手なら、同じチームで骨を埋めることも考えたかもしれない。でも、楽天で4球団目ですから。自分の力を評価してくれる球団に移ることは、そんなに難しい決意ではなかった」とその心境を語っていた。

 移籍を果たした楽天には、38歳で本塁打王に輝いた40歳のベテラン、山崎武司がいる。山崎の地元、名古屋で中日時代を過ごした中村は、共通の知り合いを通じて、山崎の話を聞く機会があった。その時に山崎が話したのは、13年前にホームラン王を獲った時はまだまだ若く、力任せに打っていたけれど、2年前にタイトルを獲った時は、配球を細かく読んでいた、というものだった。

 ベテランの域に達した中村が、この言葉に興味を持ったとしても納得できる。山崎に「読み」を教えた野村監督の下で、もう一度「原点に戻って野球の勉強をしてみたい」と思ったのかもしれない。フェルナンデスが抜け、三塁手を補強ポイントにしていた楽天と中村の思惑が一致し、契約はすぐにまとまった。これまでにゴールデングラブ賞を7回受賞した中村にとって、三塁手として契約してくれたことが、何よりも嬉しかったという。

 近鉄時代から右方向への流し打ちなど、そのバッティング技術には定評がある中村。野村監督の下で「読み」を学んだベテランが、再びホームラン王として輝き始める日も、そう遠くはない。

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