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優勝の陰の立役者、
細川亨が化けた理由。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2008/10/23 00:00

 監督交代で生き返った典型が埼玉西武ライオンズの女房役・細川亨だろう。前監督の伊東勤はかつての名捕手。自分と比べてしまうせいか、なかなか及第点を出すことはなかった。

 結果を出せず、自信を失いかけていた時に、監督が交代したのである。

 「結果については何も言わないけれど、配球を組み立てる過程をキチンと説明できるようにしてくれ」という渡辺久信新監督の指導方針が、細川にマッチしたのだろう。思い切りのよさが買われて、今季はほとんどの試合でスタメンのマスクをかぶっている。

 「優勝の陰の立役者は細川だ」と言った渡辺監督が最も評価した点は、投手に安心して、変化球を投げさせる強肩ぶりである。

 一方、小野和義投手コーチは強気のリードが細川の良さだという。「投手に内角と低め、L字型のゾーンを狙って投げてくれと言っているが、強気のリードをしてくれているからこそできる。普通の捕手だと細川のような思い切ったリードはなかなかできないのに、勇気をもって投手陣を引っ張っているね」とその実力を高く評価していた。

 そんな細川にも苦い思い出がある。2年前、若手捕手を育てるという球団方針もあり、銀仁朗にレギュラーを奪われたのだ。「プロで何年もやっている人間が、高卒ルーキーに簡単に定位置を奪われるなんて、自分のだらしなさを恥じた」と今でも悔しさを忘れることはない。

 その反省からキャンプ中でも投手陣と積極的に話すことを心がけ、西武OBの解説者が姿を見せると、遠慮なく相談をしていた。渡辺監督が兄貴分と慕う東尾修は「相手打者に打たれた球をもう一度投げさせる勇気があるから、ピッチャーから信頼される。怖がって投げさせないと、狙い球を絞られやすくなるからね」と細川の成長に目を細めていた。

 インサイドワークに加え、今季は16本の本塁打を放つなど、長打力も増してきた。「細川にどれだけ痛い目に遭わされたことか」とソフトバンクの豊倉チーフスコアラーは頭を抱えている。

 「自分がリードする時と逆の考えで打席に立っている」という細川。思い切りと意外性は、4年ぶりの日本一を目指す西武に欠かせない存在だ。

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