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次々に訪れる逆境と戦う
ホーネッツHCの強い心。
~被災地のNBAチームとして~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byNBAE/Getty Images

posted2011/04/07 06:00

次々に訪れる逆境と戦うホーネッツHCの強い心。~被災地のNBAチームとして~<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

 人生は公平ではない。それは、公平に戦うためのルールがあるスポーツの世界にも当てはまることだ。選手やチームの境遇まですべて公平にすることは不可能だからだ。

 ニューオリンズ・ホーネッツのヘッドコーチ、モンティ・ウィリアムスは、大学時代にそのことを痛感した。将来有望な選手として期待された大学2年のとき、健康診断で肥大型心筋症と診断され、ドクターストップがかかったのだ。2年後に奇跡的に症状が消えて選手として復帰、NBA選手として9年間のキャリアを送ることができたが、空白の2年間の辛さは今でも忘れられない。

 最近、改めて人生が不公平だと感じたのは、3月24日、ユタ・ジャズ戦でのこと。チームのエース、デビッド・ウェストが左膝前十字靭帯を断裂し、今季絶望となった時だった。プレーオフ出場権をかけてラストスパートの争いをしているホーネッツにとっても、今シーズン後のオフに契約延長を迎えるウェストにとっても、最悪のタイミングでの負傷だった。そのときの気持ちを聞かれたウィリアムスは、「言葉にできない。説明不可能だ」と言った。

ハリケーン・カトリーナですべてを失った人々がいる土地で。

 思い返せば、シーズンが始まって以来、ホーネッツにとっては逆境の連続だった。選手の故障に加えて、チームの売却問題と移転危機等々。ひとつ乗り越えたと思ったら、すぐに次の困難が現れた。

 とはいえ、不運を嘆いているわけにはいかない。3月29日現在で西カンファレンス6位のホーネッツとプレーオフ圏外9位のチームとの差は僅か3ゲーム。毎試合の勝敗が、プレーオフに出られるか出られないかの差に直結するのだ。

「これが現実。受け入れるしかない。人生は公平ではないが、私たちはニューオリンズに住んでいるのだ。多額のサラリーをもらいながら、バスケットボールのことで文句を言っても、誰も同情してくれない」とウィリアムスは言う。'05年8月のハリケーン・カトリーナですべてを失った人々がいる土地では、逆境でも戦い続ける姿勢こそが支持されるのだ。

 ウィリアムスは続けて言った。

「ニューオリンズのエンブレムを胸につけている限り、私たちはプレーし続ける能力と機会がある。そのことを、心から信じている」

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