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日進月歩のサッカーに
日本はついていけるか?
~悪しき伝統を捨てたドイツ~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byMutsu Kawamori

posted2009/07/07 06:00

22日のイングランド戦でも引き分けたドイツ。イングランドとともに、準決勝進出を決めた

22日のイングランド戦でも引き分けたドイツ。イングランドとともに、準決勝進出を決めた

 どうやらドイツが柔らかくなっている。南アフリカでのコンフェデレーションズカップを前にスウェーデンに立ち寄り、U-21ヨーロッパ選手権を取材していて、その思いを強くした。

 極端に表現すれば、体が、特に股関節が固そうで、スムーズにインサイドキックを蹴ることができない。それがドイツの選手に対する私のイメージだった。

 典型的なのは、メッツェルダーやメルテザッカー。当然、DFラインから流れるようなパスワークで攻撃を組み立てて、などというわけにはいかなくなる。

 ところが、U-21ドイツ代表を見ていると、そうした選手が見当たらないのだ。センターバックは滑らかなボールさばきでパスをつなぎ、前が空けば自ら持ち上がる。またGKでさえ、11人目のフィールドプレーヤーとして、落ち着いてつなぎに加わっているのである。

 私が見たスペインとの試合(0対0)ではポゼッションこそ劣ったが、決定機の数では圧倒。それもパワーやスピードに頼るだけの攻撃ではなかった。

頑固なドイツにも訪れたグローバル化の波。

 理由のひとつには、“多国籍化”が挙げられる。DFボアテング(ガーナ系)、アオゴ(ナイジェリア系)、MFオジル(トルコ系)などの存在は、ドイツを柔らかくした重要な要素だろう。

 だが、それだけが理由とは思えない。このU-21代表に限らず、一昨年のU-17ワールドカップでMVPを獲得したクロースなどを見てもそうだが、ベースとなるボール扱いや身のこなしという部分において、ドイツらしさがいい意味で失われている選手は数多い。

 華麗なパスサッカーでユーロを制したスペインとは対極を成し、現代のトレンドとは乖離した独自路線を進んでいる印象さえあったドイツだが、若い世代はもはや同じ道を歩んではいない。

あと1年で、日本は世界のトレンドに乗れるのか?

 翻って日本はというと、ワールドカップ出場こそ決めたが、世界基準の最低ライン、オーストラリアには一度も勝てなかった。指揮官は「(ベスト4が)今は無理かもしれないけど、我々には1年という期間がある」と言うが、その1年間は日本だけに与えられるものではない。

 世界のサッカーは日進月歩。状況は日々刻々と変わっている。果たして日本は、そのスピードについていけているのだろうか。

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