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異色ドライバー、小暮卓史のリベンジ。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

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posted2007/06/14 00:00

 全日本選手権フォーミュラ・ニッポンを戦う小暮卓史がおもしろい。昨年の小暮は、シリーズ第3戦で自身2回目のポールポジションを獲得すると、第5戦から第8戦まで4連続でポールポジションにつき、通算するとシリーズ全9戦中5戦でポールポジションにつくという猛然たる快走を見せた。

 その一方、決勝レースでは毎回順位を落としてしまい、(中にはフォーメーションラップ中にスピンしてスタートできずに終わるという大ポカもあり)選手権ポイントはなんとポールポジションを獲れなかった最終戦で4位に入賞して記録した3点のみ。国内トップフォーミュラレース史上前代未聞の戦いぶりだ。

 速いが勝てない極端な才能の持ち主、いわゆる「キャラの立った」選手として小暮には悪いが、少なくともわたしは毎レースかなり楽しませてもらった。ところが今年の小暮は様子が違うようだ。中嶋企画に移籍した今年、小暮は昨年とはまったく異なる意味でわたしを興奮させてくれた。

 ツインリンクもてぎで5月20日に開催されたシリーズ第3戦は、燃費と車重のかねあいから決勝では1ピット作戦を採るチームと2ピット作戦を採るチームに別れた。2ピット作戦を採れば、搭載燃料を3分割することにより走行中の重量を軽くできるというメリットがあるが、ライバルよりも1回ピットインが増える分、ロスタイムを強いられる。そのロスを補ってライバルに打ち勝つためにはとにかく身軽な状態でハイペースの走行を続けなければならない。そして小暮は2ピット作戦を選んだ。

 スタートした小暮は、ライバルより1秒半以上も速いペースで突進した。決勝は62周。2回のピットイン、ピットアウトを含め、一瞬のミスも許されない作戦である。果たして作戦そのものが成立するのかどうか、もし理論的に成立したところで、小暮が要求されるペースで長いレースを走りきれるのかどうか。昨年の小暮を見ていたものだから、この緊迫した作戦をはらはらして見守った。それだけに、見事首位のままチェッカー旗をくぐったときには、ここ近年感じなかった感慨をおぼえたものだ。

 小暮には異能の人としてF・ニッポンを支えるスターになって欲しいと願う。

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